サファテから日本のみんなへメッセージ 「リハビリは順調、魂はチームとともに」

杉浦大介

リリーフ投手陣へ向けて

サファテの抜けた穴を埋める森。サファテは「これまでやり遂げたことを信じて向かっていって」とメッセージを送る 【写真は共同】

――ここからはホークスのリリーフ投手たちにメッセージを送ってください。まずはすでに何度か話が出た森投手からお願いします。

 森はシーズン終盤にはすでに疲労しているはずだから、必要以上にハードワークし過ぎないようにと伝えたいです。練習では無理し過ぎず、投げ過ぎず、休みをとって賢明に取り組んでほしい。不調のイニングがあったり、セーブ失敗したりしても、次の日にやり直せばいい。これまでやり遂げたことを信じ、打者に向かっていってほしいです。

――セットアッパーになった加治屋投手もいいシーズンを過ごしています。

「君はどういうタイプのピッチャーなのか?」と毎日のように彼に尋ねてきました。見事な速球を持っているのだから、彼にはパワーピッチャーとして確立してほしいんです。今季、この後の2カ月間も、自身がパワーピッチャーであることを常に頭に置いてほしい。シーズンはもうすぐ終わりなのだから、うまくいかないイニングがあっても気に病むことはない。1、2失点を許しても気にする必要はない。これまで通りに投げ、ストライクゾーンに攻め続ければ、彼は大丈夫なはずです。

――嘉弥真新也投手はどうでしょうか? 

 過去数年、嘉弥真には「才能はあるのだから、あとは自信を持って投げればいいんだ」と伝えてきました。今季ついに自信をつけて、素晴らしいシーズンを過ごしてきたのだから、このまま前に進んでほしい。「君の力を疑った人たちが間違っていたと証明するときが来たんだ」と伝えたいですね。

――1軍に定着している二保旭投手とは親しいのでしょうか?

 彼のこともよく知っていますよ。先日話したばかりです。二保にとって今季は手術から復帰して最初のフルシーズンだから、力強く締めくくってほしい。うまくいかないイニングもありますが、気にしてはいけない。去年は登板機会がなかったのだから、今季多くの打者と対戦することは彼にとっていいことです。今季は良くやったのだから、このままコンディションを保ち、来季をビッグイヤーにしてほしいと願っています。

――登板数が増えたモイネロ投手は苦しい7月を過ごし、登録抹消されてしまいました。

 ティト(モイネロの愛称)は昨季、とてつもないシーズンを過ごしました。彼が途中からチームに加わっていなかったら、去年のチームはあれほど勝てなかったでしょう。今は疲れが出ているのはわかっているし、しばらくは力を蓄えてほしい。疲労がゆえに球が高めに浮いてしまっていたのだから、何とかシーズンをいい形で締めくくり、オフには家に戻ってゆっくり休んでほしいですね。

「日本の人たちは助け合う心を持っている」

――先月、西日本集中豪雨の後にはTwitterでの動画メッセージが話題になりました。被害にあった人々に、伝えたいことはありますか?

 私はこれまで8年を日本で過ごし、津波、地震、洪水といった多くの災害で被害にあった人たちを目にしてきました。日本の人たちについて言えるのは、みんな逆境に強く、愛を持ち、どんな状況でも助け合う心を持っているということ。あの動画を送ったときは、多くの人々が苦しんでいるときに日本にいられないことが残念で仕方なかったんです。私は九州キリスト災害支援センターというチャリティー団体と一緒に活動してきました。何か災害があった時、彼らは水やシェルターを提供し、ボランティア活動を行います。多くの活動を行ってくれている彼らを私と妻も支援し、寄付し、何でもできることをやっていこうと呼びかけてきました。西日本集中豪雨の被災地ではいろいろ手助けが必要で、少しでもサポートしたい。その気持ちを伝え、人々を勇気づけたいと思いました。私の名前が広まることではなく、九州キリスト災害支援センターの行動を知ってもらい、募金活動やサポートが広がることがメッセージの目的だったのです。

――チームメートだけでなく、ホークスのファンもあなたの帰還を楽しみに待っています。最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

 まず、ソーシャルメディアを通じて多くの言葉を送り、励ましてくれたファンの方々に感謝したいです。今季はチーム、ファン、福岡の人々にとって厳しいシーズンになっていることはわかっています。ただ、選手たちは日々、全力を尽くしてくれています。成功するために、まずは失敗しなければいけないときがあるもの。この経験を糧にチームはさらに強くなるはずです。だから、シーズンを通してサポートを続けてください。例え望むような結果にならなかったとしても、ホークスは来季に向けて一生懸命に準備します。繰り返しますが、皆さん、ありがとう。離脱してしまったのは残念ですが、私の魂はチームのみんなとともにあります。復帰のために全力を尽くし、より強くなって戻ってきます。19年はホークスが優勝すると私は確信しています。そのためにハードワークを続けていくつもりです。
(※今季の成績は8月10日時点のもの)

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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