武藤嘉紀を支える3つのメンタリティー ニューカッスルでの勝負はここから
練習期間3日でのプレミアデビュー
トッテナム戦でプレミアデビューした武藤(左)。ニューカッスルでの練習期間はまだわずか3日だった 【Getty Images】
11日(現地時間、以下同)にニューカッスル・ユナイテッドのホームで行われたトッテナム・ホットスパーとのプレミアリーグ開幕戦。武藤はスタメンではなく、ベネズエラ代表FWサロモン・ロンドンや、韓国代表MFキ・ソンヨンらの新戦力とともにベンチメンバーに名を連ねた。
とはいえ、チーム合流からほとんど時間がない中で迎えた開幕戦。2日にクラブ公式サイトで加入を発表した後、労働ビザ手続きのため英国外へ一度出なければならなかった。そして、手続き完了後に英国へ帰国し、8日にチーム合流。「練習も3日しかしていない」というぶっつけ本番での開幕戦だった。チームメートの顔と名前も、まだすべては一致していないという。
そんな武藤に出番の声がかかったのは、1−2の相手リードで迎えた後半36分。スペイン人FWアジョセ・ペレスとの交代でピッチに入ると、武藤は4−2−3−1のトップ下の位置に入った。ラファエル・ベニテス監督からは「プレスが前からできていなかった。前からプレスにいって、裏に抜けろ。裏のスペースが空いてくるから、そこを狙っていけ」と指示を受けたという。
後半の中盤以降、攻撃が手詰まりになっていたベニテス監督としては、武藤の投入で試合の流れを変えたかったに違いない。得点が必要とされた局面でピッチに入った武藤も、指揮官の期待に応えようと積極的に仕掛けた。
まずまずのデビュー戦に
5分後にも再び左サイドのスペースに流れ、ボールを要求。セネガル代表MFモハメド・ディアメからパスを受けると、シュート性の速いクロスボールを上げた。しかし、またしても相手DFにブロックされる。
その後も、プレー位置を移しながら味方の縦パスを引き出そうとしたが、試合は1−2のまま終了。ニューカッスルでの初戦は黒星となった。6分間のアディショナルタイムと合わせて、武藤のプレー時間は約15分。前線からのプレスや後方へのプレスバックでもチームの力になったデビュー戦について、本人は次のように振り返った。
「特に緊張することもなく、自分らしいプレーができたと思いますけれど、もうちょっと時間が欲しかった。けれど、最初はまあこんなもんなのかなと。まだ練習も3日しかしていないですし、試合に出られただけで、雰囲気を味わうことができただけでも、まあよかったと思います」
試合後の囲み取材の中で、特に感心したのが、武藤の前向きなメンタリティーだった。過大評価も過小評価もすることなく、自身の立ち位置をしっかりと見据えて、さらに高みを目指そうとする姿勢を強く感じ取った。