【新日本プロレス】内藤がLIJ対決制し決勝進出へ望み オメガはまさかの連敗 飯伏も3敗目

高木裕美

飯伏は1対3の戦いに力尽きる

飯伏(左)はBULLET CLUB OGに1対3の戦いを強いられ敗れてしまう 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 飯伏幸太はタマ・トンガに痛恨の黒星。さらに、パートナーのオメガにも、深い傷を負わせてしまった。

 BULLET CLUBによる内紛劇が、オメガの“恋人”である飯伏にまで被弾した。G1シリーズ中、常にセコンドの乱入・反則行為を繰り返していたトンガだが、この日はたった1人で入場。だが、すぐにどこかへ走り去り、花道に登場した飯伏に背後から奇襲。顔面を鉄柱に打ちつけ、ナックルを打ち込み、鉄柵に放り投げ、踏みつける。一度はリングに戻るも、再度場外へ連れ出すと、飯伏が逆に2階バルコニーに上がり、手すりわたりからのケブラーダを敢行。一気に観客の心をつかむが、ここでついにタンガ・ロアが現れ、飯伏の攻撃をことごとく阻止。さらにはレフェリー不在のスキにバッドラック・ファレまで登場し、飯伏は1対3のピンチに追い込まれる。すると、直後に試合が控えているにも関わらず、オメガがたまらずリングに飛び込み、助けに入るが、返り討ちにあい場外へ。飯伏はトンガに生ヒザでのカミゴェを狙うもかわされ、逆にガンスタンに3カウントを献上してしまう。

 飯伏の敗北に観客が声を失う中、さらに悲劇は続く。ファレとタンガに襲われたオメガが、合体パワーボムのエジキに。なおもファレは飯伏にも魔の手を伸ばすも、ハングマン・ペイジとチェーズ・オーエンズが駆けつけると、BULLET CLUB OGは退散。とはいえ、この一戦で失ったものはあまりにも大きかった。

 これで飯伏は5勝3敗と3位タイに後退。とはいえ、最終戦でオメガとの約6年ぶりの一騎打ちに勝利した上、内藤もザックに敗れれば、飯伏、オメガ、内藤、ザックの4人が12点で並び、他3人に直接対決で勝利している飯伏が決勝進出となる。

 一方、トンガは3勝5敗。最初から優勝争いよりも試合をブチ壊すことをテーマにしていたBULLET CLUB OGだが、自分たちの公式戦以外にも介入を始めたことで、最終戦も気が抜けない状況となりそうだ。

ザックはNEVER王者・後藤に勝利

ザック(上)はNEVER王者・後藤に勝利しベルト挑戦をアピール 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ザック・セイバーJr.は現NEVER無差別級王者・後藤洋央紀に快勝し、王座挑戦をアピールした。

 勝ち越しのかかっている後藤は、序盤から激しい打撃戦を仕掛け、バックドロップから場外で鉄柵攻撃を仕掛けるも、ザックは場外でジムブレイクスアームバーを敢行。痛めた右腕にストンピング、変形羽根折り固めを仕掛けると、後藤も村正、バックドロップ、ブレーンバスター、ラリアットとたたみかけるが、ダイビングエルボードロップは関節技に切り返され、自分のペースに持ち込めず。ザックはコブラツイスト、卍固め、ジャパニーズレッグロールクラッチと自らのスタイルを貫くと、後藤のヘッドバット、裏GTRを食らいながらも、サムソンクラッチからのヨーロピアンクラッチで3カウントを奪取。勝利したザックは、NEVERのベルトを自らの肩にかけ、王座挑戦をアピールしてみせた。

 これでザックは5勝3敗と3位タイに浮上。自身の決勝進出の道は断たれたものの、最終戦では対戦相手の内藤、そしてオメガ、飯伏の運命まで握る、重要な役割を託され、ますます注目度が上がるばかりだ。

 一方、後藤は3勝5敗と負け越しが決定。最終戦ではUS王者ジュース・ロビンソンとのシングル王者対決が控えるが、G1後は敗れた相手へのベルトを賭けたリベンジ行脚が始まりそうだ。

石井は3王者に連勝で勝ち越し目指す

石井(右)はG1中に3王者に勝利を飾る 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 石井智宏は現IWGP USヘビー級王者のジュース・ロビンソンに快勝。このG1シリーズでシングル王者を3タテした。

 ジュースは石井のお株を奪うナックル&チョップを連打すると、開始5分にして自ら左手のギプスをはずして素手になり、ナックルを打ち込むが、石井も打ち返し、逆水平チョップ合戦へ。石井がパワースラム、雪崩式ブレーンバスターを放つと、ジュースもプリンスズスロウン、パワーボムでお返し。石井はジュースのパルプフリクションを切り替えしてスライディングラリアット、ジャーマンスープレックス、ラリアットを決めると、ヘッドバットの打ち合いから延髄斬り、垂直落下式ブレーンバスターとたたみかけて勝利した。

 これで石井は4勝4敗の五分。しかも、そのうち3勝はIWGPヘビー級王者のオメガ、NEVER無差別級王者の後藤、そしてUS王者のジュースから奪ったものであり、下半期のタイトル戦線に名を連ねることは確実だ。

 一方、ジュースは2勝6敗。負傷した左手も、試合中に何度もギプスをはずして戦っていることから全治にはほど遠く、G1は完走できたとしても、秋以降は早期の王座転落や、長期戦線離脱も避けられない状況だ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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