松山英樹は弱気なくらいがちょうどいい!? “何か”が起きる全米プロで浮上なるか

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完璧を求めるがゆえ、納得することはない

今季の松山は、精密機械のようなアイアンショットが鳴りを潜めている 【Getty Images】

 松山のプレースタイルは、精密機械のようなアイアンショットでチャンスを作り続け、あとはパッティングの調子次第。ところが、今年はそのチャンスメイクに苦戦する。パーオン率は昨季の16位から今季は92位に低迷。「去年まではショットが安定していて、パターが入れば上位にいけるというスタンスでした。まず『パターが入れば上位にいける』というところまでショットを戻さなければいけないですね」の自己分析が結果にも表れている。

 練習を続けて光を見いだすのか、との質問にも、「練習の方法も……」と、これまでの姿勢に疑問を持っている様子もうかがえる。「いろいろ考えているけど、自分の良かったときのフィーリングとか結果が出ていたときのスイングを見ていても、多少の違いはあるけど、そこまでひどいスイングをしているかっていうとそうでもない」と、迷路に迷い込んでいる様子がうかがえる。

 完璧を求めるあまり、納得を得るには時間がかかるタイプ。というよりも、納得することがないのが松山だ。昨年のブリヂストン招待でも、最終日は「朝の練習では最悪の状態だった」と笑いながら、スコアは「61」の大会コースレコード。きっかけひとつで状況を一変させる力を発揮するのも松山だ。「今これだけ練習して、いい感じで試合に臨めそうになっても試合でこうやって崩れてしまうので、ちょっと時間がかかりそう」というものの、もちろん練習をやめることはない。

ノープレッシャーの今こそ浮上の予感

昨年の全米プロにて目頭を押さえながらホールアウトする松山。今年は歓喜の姿を見せることができるか 【写真は共同】

 最後の1人になるまで練習場に残る姿を何度も見てきた。コース外でもひたすら努力を重ねてきた。結果が出なくとも、信じた道を突き進む姿にファンは魅了された。そんな男に心の揺らぎがあるとは思えない。結果が生まれない苦しい時期を乗り越えてこそ見えるものがあるはずだ。松山の表情にはいま、怒りよりも諦めの様子がにじみ出る。ストイック過ぎる男にはこれくらいがちょうどいいのではないかと思ってしまう。

 実は、2016年にもプチスランプに陥った時期がある。2月に優勝を飾りながら、米ツアー初優勝を果たした「ザ・メモリアルトーナメント」で予選落ち。大事な全米オープン前の試合から調子を崩すと、リオデジャネイロ五輪の関係で前倒しになったブリヂストン招待は42位タイ。全英オープンでも予選落ちとなったが、全米プロで4位タイに食い込むと、レギュラーツアー最終戦の「ウィンダム選手権」でも3位タイに入った。

 昨年大会では最終日の途中まで首位に立つ活躍を見せたが5位タイに終わり、人目をはばからず涙した全米プロの舞台。「予選落ちすると思います」という自虐の言葉どおり、自身への期待が薄れている今、むしろノープレッシャーで戦えることで、再び弾みをつける大会になるような気がしてならない。

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