【新日本プロレス】 G1前半戦を終えオメガ、ジェイが無敗 石井と後藤の死闘で聖地が熱狂

高木裕美

内藤は負傷のジュースに快勝 連覇へ射程圏内

内藤(右)は容赦なくジュースの負傷する左手を攻撃する 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 昨年度覇者の内藤哲也はIWGP USヘビー級王者ジュース・ロビンソンに快勝した。

 内藤は負傷しているジュースの左手に容赦なく集中攻撃を浴びせると、雪崩式フランケンシュタイナーを繰り出すが、これはジュースが逆に丸め込みへ。10分過ぎ、内藤のスイングDDTをこらえたジュースは、そのまま滞空式ジャックハマーでたたきつけると、さらにトップコーナーからのホールアウェイスラム、キャノンボール、パワーボムと一気呵成に畳み掛けるも、カウントは2。内藤はパルプフリクションを徹底的に切り返し、逆にリバースフランケンシュタイナー、ジャーマンスープレックスを決めると、デスティーノ2連発でフィニッシュとなった。

 これで内藤は2勝1敗と、91年&92年の蝶野正洋、03年&04年の天山広吉に続く史上3人目の2連覇も射程圏内。一方、ジュースは左手負傷というハンデを抱えているにせよ、US王者でありながらBブロック唯一の3連敗というふがいない結果に、批判の声も挙がってきそうだ。

テクニシャン対決はSANADAに軍配

テクニシャン対決となったSANADA(上)とザックの一戦は、SANADAがNJCの借りを返した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 SANADAとザック・セイバーJr.によるテクニシャン対決はSANADAに軍配が上がった。

 両者は今年の3.18浜松で行われた「NEW JAPAN CUP」準決勝戦で対戦しザックが25分35秒、複合関節技で勝利。ザックはそのままNJC優勝を果たし、「サブミッションマスター」の称号を世にとどろかせた。

 ザックはこの日も得意のグラウンドで自身のテクニックを見せつけようとするが、なんとSANADAも相手の土俵に乗った上で、同じ動きを繰り返して対抗。回転エビ固め、クロスアーム式ロック、フィンガーロックなどを互いにかけ合い、互いに譲らず。ザックはならばと後方回転足折り固めで決着を狙うも、SANADAはこれを切り返しての後方回転足折り固めで3カウントを奪取。2日前のトンガ戦でも見せた丸め込みで、2勝目をゲットした。

 これでSANADAは2勝1敗。一方、ザックは1勝2敗。大物食いも期待できる2人だけに、まだまだ優勝争いに絡んできそうだ。

飯伏は矢野の“悪質タックル”に敗れる

矢野は“悪質タックル”から飯伏を丸め込み、勝利を奪った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 初優勝を目指す飯伏幸太は、日大レスリング部出身の矢野通による“悪質タックル”で痛恨の初黒星を喫した。

「日本大学」「レスリング」という、昨今のニュースをにぎわせたパワーワードをバックボーンに持つ矢野は、G1直前の記者会見で「“フェアプレイ日大”の精神で、このG1をマジメに戦い抜く」と宣言。だが、この日はいつもの矢野に完全に戻っていた。

 両者は15年8.11後楽園で行われたG1公式戦でも対戦。この時は矢野が急所攻撃からの裏霞によりわずか50秒で勝利しており、飯伏としても警戒は怠ってはいなかった。矢野が開始早々、連続で丸め込みを仕掛けると、飯伏はフランケンシュタイナーで場外へ落としてプランチャ。すると矢野はさっそくフェアプレー精神を忘れ、反則の鉄柵攻撃。さらにコーナーマットをはずしにかかるが、飯伏も自らマットをはがし、結局、四隅の金具がむき出し状態に。互いに金具へぶつけ合う消耗戦から、今度は矢野がテーピングを取り出し、飯伏の両手を拘束。だが、飯伏はその状態でもお構いなしにドロップキック、キックのコンビネーション、その場飛びムーンサルトを繰り出し、なおも矢野に組み付くと、矢野はレフェリーを利用して窮地を脱し、後ろから金的。さらに、アメフトではご法度とされる後ろからの「悪質タックル」を決めると、そのまま丸め込んで3カウントを奪取した。

 この結果により、飯伏は2勝1敗と初失点。かつてDDTプロレス所属時代には、「SUPER J-CUP」1回戦(09年12.22後楽園)で敗れた外道へのリベンジを叶えるべく、正月休み中(10年1月6日)の新日本事務所にアポなしで突撃し、1.31新日本・ディファ有明大会での再戦(飯伏&オメガ組vs.邪道&外道組)にこぎつけるという執念深さを見せた飯伏が、新たな“宿敵”となった矢野と今後どう絡んでいくのかも、別の意味で注目だ。

 一方、矢野は1勝2敗と逆に初白星。8.8横浜ではIWGP王者オメガとの対戦を控える矢野が、またしても“秘策”を繰り出し、番狂わせを起こすか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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