川崎F・大島僚太が語るW杯とこれから 「自分がやるべきことを書き殴った」

原田大輔

大島を救った中村憲剛の言葉

大島はフロンターレのよき先輩・中村憲剛との秘話を明かしてくれた 【スポーツナビ】

――結果的に大島選手は出場機会を得られませんでした。プロ1年目を除けば、そうした経験はほとんどなかったのでは?

 確かに試合に出られなかったのは、プロ1年目とリオ(デジャネイロ)五輪出場を目指していたアジア最終予選の終盤くらいですかね。初戦のコロンビア戦と、2戦目のセネガル戦は打撲の影響があって、(体の)無理が利かないというか、もし自分が試合に出ても100%の力でチームに貢献できるかどうかという不安もありました。でも、コンディションが戻ってきた3戦目(ポーランド戦)。練習もフルメニューをこなせるようになっていて、メンバーもかなり入れ代わった中で、試合に出られないと分かったときには、正直、悔しかったです。

――そうしたときに声を掛けてくれた人はいましたか?

 なぜか、そのタイミングで(中村)憲剛さんから連絡が来たんですよね。1試合目のときも、2試合目のときも連絡はなかったのに。すごいなって。「このタイミングなんだ」と思いました。

 最初は「腰の状態はどう?」からはじまって、何回かやりとりする中で、自分がポーランド戦に出る可能性が低いことも伝えました。そうしたら憲剛さんは、自らの経験談として「自分もW杯南アフリカ大会のときは、グループステージで一度もピッチに立つことができなかったけれど、決勝トーナメントで出ることができた。それだけ何が起こるか分からないということだから、出たときにしっかりプレーできるように準備だけは怠るなよ」と言ってくれました。

 その言葉を聞いて前向きになれました。その後も先発する機会はないかもしれないと思いましたけれど、チームのために仮想ベルギーの練習相手としても最善を尽くそう、やれることをやろうと思えました。

――実際にW杯を経験している先輩の言葉が大きかったんですね。結果的にベルギー戦も出場はかないませんでした。帰国してからは振り返っていないということでしたが、終わった直後に思ったことは?

 宿舎に戻って、部屋にあった紙にいろいろなことを殴り書きした記憶があります。もともと、いわゆるサッカーノートも、書きたいけど書かなかった年と、書きたくないけどあえて書いた年があったんです。でもいつだったか、心に残る言葉ってノートに書かなくても覚えているよなと思ったんですよね。

 だから去年も書くのをやめて、それでチームがJ1で優勝できたので、今年も書かないでいたんです。でも、ベルギー戦の直後だけは書かずにはいられなかったというか……。たぶん、そのとき思ったいろいろな感情、これからの自分がやるべきことなどを書き殴ったと思います。記憶もおぼろげですし、その紙は持って帰ってきましたけれど、一度も見ていない。だから何て書いたかは覚えていないですね。

「あらがいたい気持ちがないわけじゃない」

代表選手として「厳しい目で見られる」ことを覚悟した上で、大島はJリーグでの成長を誓う 【(C)J.LEAGUE】

――ピッチに立つか立たないかでは大きな違いがあったと思いますが、その事実をどう捉えていますか?

 シンプルに実力がなかったとしか考えていないですね。けがをしなければ、とかは全く思っていない。純粋に自分の実力と、準備ができていなかったから。だから、この後をどうすればいいというコメントはないですし、今はただただ自分の実力不足で、それをどう補っていくかしか言葉は思いつかないです。

――悔しい思いをした経験や感じた世界との差を、今後どのようにJリーグのピッチで示し、埋めていきたいですか?

 海外でプレーしている選手は、日ごろから体の大きな相手やスピードのある選手と対峙(たいじ)しているので、そこで慌てないというか、場慣れしているところは確かにあったと思います。Jリーグでも外国籍選手と対峙(たいじ)する機会はあるので、そこにこだわり続けないといけないとも思いますし、それは海外に行かなければ分からないことなのかなとも思います。海外でプレーすれば、もちろん孤独だし、生活も不自由だし、自然と自分を成長させてくれる要素がたくさんあると思う。一方で、Jリーグでは自分の強い意思がなければ成長のスピードは上がらない。環境を変えなければと思う一方で、Jリーグのピッチでも成長できるとも思うんです。

 W杯期間中も、チームメートから「欧州でプレーした方がいいよ」と何度も言われました(笑)。そこに歯向かうというか、あらがいたい気持ちがないわけじゃない。確かに欧州で長くプレーしている選手たちを見れば説得力があるのも分かるし、一緒にプレーしたからこそ、すごいことも分かる。でも、国内でプレーしている選手がその領域に到達できたら、それはもっとすごいことなんじゃないかとも思うんですよね。生活環境に対する不安だったり、自分に弱さがあることも分かっていますけれど、Jリーグという環境でプレーしながらW杯で活躍することができたら、川崎への恩返しにもなるし、それができたら新しい選手のひとりになれるんじゃないかなと。

――いよいよ、J1は中断期間が明けてリーグ戦が再開します。

 僕はこれまで得点を多く決めてきた選手ではないですし、それほどマークの厳しさが変わるとは思いませんけれど、これからはチームが負ければ自分に非があると思うし、周りからもそうした厳しい目で見られると思います。これまで自分が日本代表選手と対峙したときには、絶対にボールを奪ってやると考えていたように、相手からもそう思われる機会は増えるはず。だからこそ試合に勝たなければいけないですし、勝ちしか許されないくらいに責任は感じています。

【試合情報】J1第17節 川崎vs.長崎

【(C)KAWASAKI FRONTALE、(C)2010 VVN】

V・ファーレン長崎との初対戦記念!! 「川崎×長崎」特別企画
(1)V・ファーレン長崎 ?田明社長がフロンパークにご来場!ご挨拶&撮影会
V・ファーレン長崎の?田明社長から等々力に集まった両サポーターへのご挨拶や、当日限定発売のマスコットコラボグッズの紹介などをしていただきます!また、16:00からはステージにて写真撮影会も実施します。
(2)V・ファーレン長崎マスコット「ヴィヴィくん」撮影会
Jリーグ界でも屈指の人気を誇る「ヴィヴィくん」が等々力に初登場! かわいいヴィヴィくんと一緒に写真を撮ろう!
(3)長崎県雲仙市PRブース出店
V・ファーレン長崎のホームタウン長崎県から「雲仙市」のPRブースが登場! 名産品の「じゃがいも」を販売する他、アンケートに答えると、雲仙市の名宿宿泊券やブランド品が当たるガラポン抽選会に参加できます!
(4)長崎県名物グルメ販売
長崎県の名物グルメ「長崎ちゃんぽん」と「長崎角煮まんじゅう」が等々力で食べられます! 長崎が全国に誇るちゃんぽんの名店「リンガーハット」が自慢の長崎ちゃんぽんを販売! また、長崎県内で絶大な人気を誇る「岩崎本舗」の長崎角煮まんじゅうも登場しますよ! トロトロの角煮が最高の逸品です!試合前にまずはグルメから長崎を制覇しよう!
(5)「V・ファーレン長崎×川崎フロンターレ」コラボグッズ販売
ゼイワン初対戦を記念して全9種類+ガチャガチャのコラボグッズを販売します! 両チームのマスコットが共演した超かわいいデザイン。数量限定なのでお早めにお買い求めください!

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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