モドリッチがポニーから軍馬になるまで 紆余曲折の末に輝いたW杯最優秀選手
荒波を乗り越えてW杯ファイナルへ
ロシアW杯では3度の延長戦、2度のPK戦を勝ち抜いて決勝へ 【Getty Images】
再びPK戦に突入したベスト8のロシア戦でも、確実にPKを決めた。そして迎えたイングランドとの準決勝では、いつにないほどモドリッチらしさが戻っていた。中盤でタクトを振るい、ハーフタイム以降はイングランドを完全に圧倒して延長戦の末に2−1で勝利した。さらに涙をのんだファイナルでさえ、モドリッチは間違いなく存在感を発揮していた。
「何より非常にいい奴なのさ」
どこか悲しげではあったが、最優秀選手賞を「誇らしく思う」とコメント 【Getty Images】
「モドリッチは間違いなく世界有数のMFだ」と、レアル・マドリーの元監督であるカルロ・アンチェロッティは語ったことがある。そして、このように要約した。
「素晴らしいテクニックを持ち、試合の流れも読めるし、何年もかけて築き上げた強いメンタリティーがある。何より非常にいい奴なのさ」
W杯決勝戦の後、モドリッチは肩を落としつつも、どこか誇らしげだった。
「僕らは胸を張るべきだ。全てを出し切ったし、僕らの方がいいチームだったのだからね。不運なゴールで負けたに過ぎない。こういうことは起こり得るんだ。何もかもフランスに味方したようだった。僕らは今大会の自分たちの戦いに誇りを持つべきなんだ」
「今は複雑な感情だが、仕方ないと思う。あと一歩のところだったから、余計に辛い。大会期間中、僕らをサポートしてくれたファンに感謝を伝えたい。彼らのことを思うと申し訳ない気持ちになるね。それから、大会最優秀選手に選ばれたことも誇らしく思うし、チームメートに感謝したい。彼らなくして、僕が選ばれることはなかったからね」
18年、レアル・マドリーでチャンピオンズリーグを制し、クロアチア代表でW杯決勝の舞台に立ち、大会MVPにも輝いたモドリッチ。その姿は、ポニーというよりも、むしろ軍馬にさえ見えた。
(翻訳:田島大/フットメディア)