超高校級ショートのラストサマー〜報徳学園・小園海斗のモチベーション〜

沢井史

根尾より高い評価を得ている守備

2年生ながら日本代表に選出された昨夏のU−18ワールドカップでは木製バットながら3割7分8厘という高い打率を記録した 【写真は共同】

 これまで細かいミスが多かった守備でも、安定感が増してきた。

「今まで1度ミスをすると連続してミスをすることが多かったんですけれど、それが減ってきたと思います。今までずっと1歩目が遅いと言われていたので、1歩目を大事にするようにしています。足の使い方は福岡ソフトバンクの今宮健太選手を参考にしています。あとは捕球をいかにしっかりできるかですね」

 守備で流れを作り、打撃や走塁にもいいリズムをもたらすことで、春以降の練習試合では足と打撃で周囲にアピールしてきた。もともと走攻守3拍子そろったショートとして、昨夏は2年生で「U−18ベースボールワールドカップ」日本代表に選出され、木製バットながら9試合で37打数14安打、打率3割7分8厘と高打率を記録した。また、ショートの守備では、今夏で最も注目を集めるであろう大阪桐蔭・根尾昂よりも高い評価を得ている。

夏を前に変わった勝負への心構え

昨春の甲子園では「1番・ショート」として打率5割を記録して、チームの4強進出に貢献。最後の夏に「何が何でも甲子園に出る」とモチベーションは高い 【写真は共同】

 そして夏の地方大会を前に、何より変わったのは勝負に対する心構えだ。

「試合に臨む気持ちが変わりました。ただ単に勝ちたいと思うのではなくて、どんな場面でも冷静に試合を見られるようになりました。今思うと、滝川二との試合では勝たなくて良かったのかなとも思います。あのまま勝っていたら、ちょっとしたスキがあっても“まあいいや”って、反省しないまま夏に向かっていたと思うんです」

 だが、あの負けは決して無駄にしないという思いは強い。あの試合があったから、と思えるような夏にするために。小園は貪欲に前だけを見つめている。

「報徳は夏の甲子園には8年ぐらい出ていないので、この夏は何としても、というのはあります。でも過信にはせず、ひとつひとつの試合だけを見ていきたいです。その先に結果がついてくると思うので。そのためにしっかり準備していきたいです」

 夏の東兵庫大会ではお互いが順調に勝ち進めば4回戦で再び滝川二と対戦することが決まった。夏を勝ち抜くにはいくつものヤマがある。そのヤマをチームメイトと共に乗り越え、再びあの舞台に立つ。そして“球友”の藤原恭大とお互いのチームのユニホーム姿で再会することが小園のモチベーションをさらに上げている。このままでは終わらない――。そんな思いを胸に抱き、伝統校の背番号6はいよいよラストサマーを迎える。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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