常勝軍団・大阪桐蔭の挑戦2018

大阪桐蔭・藤原恭大の並々ならぬ覚悟 1番打者として「自分が打てれば勝つ」

沢井史

中川、根尾のインタビューに刺激

 1年秋から表舞台に立ち、大阪桐蔭では常に“見られる”存在だった。だが、実際は表に出るのは苦手。幼い頃はやんちゃ坊主で、高校に入るまでは家でじっとするよりも外で遊ぶのが好きな子供だった。運動会のかけっこは常に1番で、体育の競技でも目立つ存在だった。高校に入ると主将の中川卓也や根尾昂はインタビューでの受け応えがうまいのを目にして「なぜか追い込まれてしまって(笑)。自分もきちんと話せるようにしないと」と自身の受け答えに対して危機感を持つようになったという。

 それでもスポーツ以外で目立つとなると、どうしても一歩引いてしまう。昨秋のU−18野球W杯カナダ大会でも、試合終了後のインタビューを待っている時に、「どんな風に話せばいいのか分からない」と苦笑いを浮かべる時もあった。今春のセンバツでは準決勝の三重戦でサヨナラ打を放ち、初めて勝利のお立ち台に立ちインタビューを受けたが、「まだまだです。もっとうまく話せるようにならないと」と、すらすら話していたかのように見えた受け応えに関しても辛口だった。

真の1番打者に成長できるか!?

 それは根っからの負けず嫌いな性格もあるからだろう。誰にも負けたくない。そして真の1番打者として高校野球を全うしたい。プロの世界へ羽ばたいた大阪桐蔭出身の強打者に比べれば「足元にも及ばない」と自身の歩みを振り返る。だが、そんな先輩たちと同じ世界に立つことを夢見て「プロを目指すには一番近い学校だから」と多くの強豪校の中から大阪桐蔭の門をくぐることを決意してから2年。いよいよ最後の夏を迎える。

 香川県の招待試合では4試合でランニングホームランを含む4本塁打を放った。特に英明との試合で、2打席目のセンターやや右に放り込んだ1本はバットの先っぽで捕らえたもの。3打席目の右方向への一打は打った瞬間にそれと分かる当たりで、ライトは1歩も動かなかった。8回の同点のホームを踏んだ際も、藤原だからできる快足を生かした目の覚めるような走塁で本塁を陥れ、多くの観客が詰めかけたスタンドからはため息が漏れていた。

「自分が打って守って走れば、勢いがつく。夏は接戦が多くなるかもしれませんが、圧倒して勝てる力をつけていきたいです」

 その言葉には並々ならぬ覚悟が込められている。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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