波乱含みの安田記念、今年の穴候補は? 6番人気以下の6〜7歳馬に要注意

JRA-VANデータラボ

前走マイラーズC組の成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 そのマイラーズC組の成績を調べると、馬券に絡めないタイプがはっきりと傾向として出ている。まず同レースの内容では、優勝馬か、タイム差なしの接戦をした馬(そして1秒以上の大敗馬)。そして今回1〜2番人気に推された馬。さらに4歳馬もすべて凡走しており、これらの馬は3着候補としても苦しくなる。

前走京王杯スプリングC組の成績(脚質はTarget

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 同じくG2・京王杯スプリングC組は、昨年の本コーナーでケンタロウ氏が大いに参考になるデータを紹介していたので、それをお借りする。この組は、好走7頭すべてが前走の上がり3ハロン1〜2位馬で、7頭中6頭が前走「後方」からの追い込み馬。前々から速い脚を使った馬ではなく、末脚勝負で3ハロン1〜2位を記録した馬が狙いだ。

前走G1からの好走馬(日本馬)

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて表7は、前走海外を含むG1からの好走馬(日本馬)。キャリアの浅かった3歳馬・リアルインパクトを除けばG1実績がポイントとなり、G1・3勝以上なら文句なし。G1・2勝馬なら、その2勝にマイルG1か海外G1が含まれることが条件だ。加えて、前走で馬券に絡んでいることが望ましい。

 なお、外国馬のべ18頭はすべて前走G1のチャンピオンズマイル(香港)で、計【0.1.0.17】と苦戦している。2着になった08年のアルマダは同レース2着だが、同レースで連対した外国馬にかぎっても【0.1.0.8】に終わっており狙いづらい。

前走G3、オープン特別からの好走馬

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に、前走G3以下からの好走馬3頭が表8である。ロゴタイプはG1・2勝の実績馬ながらG3のハンデ戦・ダービー卿チャレンジTに出走し、58キロで2着と結果を出して参戦したパターンだった。残る2頭は連勝中で、10年のショウワモダンは前々走がダービー卿チャレンジT1着。つまりG1実績のない馬なら、ダービー卿チャレンジTを含む連勝中であることが好走条件だ。いずれにしても、同レース連対が最低条件になるのがこの組だ。

結論

 人気馬の上位独占は過去10年1度もない安田記念。人気馬で信頼性が高いのは1〜3枠を引いた馬。6番人気以下の穴馬は連対7頭中6頭を6〜7歳馬が占める。マイラーズC組は好走しても3着までが多く、前走好走馬や今回の人気馬は不振。京王杯スプリングCは脚質がカギになる。前走G1なら、一定のG1実績が必要だ。

 今年は一長一短のメンバー構成だが、まず好走の多いG2組から挙げれば、一昨年の2歳王者・サトノアレス。4頭の登録があった藤沢和雄厩舎は、京王杯スプリングCを制したムーンクエイクなど3頭が回避とのことだが、本馬は京王杯スプリングCで後方から上がり32秒7(メンバー中2位)で追い込んで3着と、表6の好走条件をクリアするこの馬だけが残った形だ。G2組の勝率が低いこと(表4)に加え、優勝馬は1〜2番人気以外なら7〜9番人気(表1)という条件に当たるかも微妙だが、馬連や3連複の軸としては十分に推せる存在だ。

 また、表は掲載しなかったが、ここ4年(14年以降)の6番人気以下の好走馬7頭はすべて6歳以上、かつマイルG1で4着以内の実績馬。そこで狙ってみたいのは、昨年本競走3着の7歳馬・レッドファルクス。他の前走G1組はG1・1勝以下の馬ばかりの中、本馬はG1・2勝に本競走3着と、表7で記したG1実績に準ずる成績は残しているだけに楽しみはある。

 ほかに穴の期待がかかるのは、「ダービー卿チャレンジTを含む連勝」(表8)を飾ってきたヒーズインラブ。また、マイラーズC組(表5)ではタイム差こそ1秒以上だが、今回人気薄で5歳以上と2つの条件はクリアするダッシングブレイズブラックムーンもおもしろい。両馬とも、穴馬の好走が多い6歳馬だ(表2)。

 なお、レッドファルクス以外の前走G1組は前述の通り表7からはやや苦しいが、前走G1組は高回収率(表4)を記録する上、1〜3枠の人気馬がほとんど好走していることから(表3)、枠順も踏まえて最終的な取捨は判断したい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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