大混戦の中、ガスリーが躍進した理由  トロロッソ・ホンダがバーレーンで快走

F1速報

燃費も問題にせず戦略もはまる

ガスリー(写真中央)とホンダF1テクニカルディレクターの田辺豊治氏(写真右端) 【Mamoru Atsuta】

 決勝でも序盤にハースのケビン・マグヌッセンに追い立てられる場面があったが、これはバーチャルセーフティカー(VSC)明けにすぐさま解除されたDRSを使って一気に迫られたもの。それでもガスリーはターン11ではアグレッシブにラインを譲らずマグヌッセンを弾き出し、続くターン1では一度インに飛び込まれて抜かれたものの、それを予期してターン1を目いっぱいアウト側から立ち上がり重視でクリアしてターン2のアウト側に並びかけ、マグヌッセンを再び抜き去って見せた。GP2のレースやテストで走り込んでおり勝手知ったるバーレーンで、ガスリーの走りはさえ渡っていた。

 その後は徐々にハースやルノー、マクラーレンを引き離していき、戦略も完璧に決めた。ルノーPU勢が燃費に苦しんだのに対して集団の先頭を走り空気抵抗を浴びる不利な立場ながらガスリーは燃費もさほど問題にせずハースを10秒、ルノーとマクラーレンを20秒も引き離して4位でチェッカードフラッグを受けてみせた。

「ロングランが速いのは分かっていたし、ルノーやマクラーレンとは戦えると思っていたよ。その上で全力を尽くしてチャンスをつかみたいと思っていたんだ。でも4位でフィニッシュできるなんて、想像もしていなかったね。もちろん上位で3台のリタイアがあったことは確かだけど、クルマの仕上がりはファンタスティックだったし、実際にペースはすごく良かった。とにかくレースは後ろとのギャップ、燃料だったりバッテリーだったりいろいろなことを考えながら、だから精神的に大変だったし冷静でいるのは大変だった。とにかくベストを尽くせるように、目の前のドライビングに集中しようと懸命だったよ」

 ガスリーが言うように、結果的に4位を手にしたのは上位勢の自滅あってのことだが、トロロッソ・ホンダが3強に次ぐ『4番手』のポジションを確固たるものとしたことは確かな事実だ。

 バーレーンのコース特性と中高速コーナーを向上させる新セットアップがもたらした躍進だが、中高速コーナーがさらに多い上海ではその真価が問われる。テクニカルディレクターのキーは「新セットアップはまだ熟成の必要があり、上海では少し弱い」と苦戦を予想する。中高速コーナーの速さを磨くためには、まだ手薄となっている空力面の開発も必須だ。ダウンフォースを付けるためには、ドラッグと戦うためのパワーも必要だ。

 今、中団グループは5、6チームが1秒以内にひしめくような大混戦であり、0.1秒でポジションがいくつも変動してしまうような状況だ。だからグランプリ週末ごとに勢力図は大きく変動しうる。そんな中で今後トロロッソ・ホンダがどんな活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみにさせてくれるバーレーンGPの快走だった。

(テキスト: Mineoki Yoneya)

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