イチローの2018年が開幕 復帰の第1打席、鳴り止まぬ大歓声
開幕前日「こんなギフトがあるなんて」
マリナーズ復帰後の第1打席はファーストゴロだった 【写真は共同】
一言一言、イチローはかみしめるように言葉を継ぐ。覚悟もしていただけに、実感がこもる。
「まず、このセーフコ・フィールドに立つことが大きな目標でしたから、途中からはね」
だからこそ、こんな言葉が漏れたのだろうか。
「こんなギフトがあるなんて思いもよらなかったですから。こんなにこう、人の思いに応えたい、というような気持ちになったことなんて、久しぶりだなと思いますね」
実は、仰木監督から、「自分のやることをやれ」と言われた時も、「この人のために頑張りたいというか、そういう思いが芽生えた」と振り返ったが、今回も、周囲のサポートも含めて自分に向けられた期待を読み取った時、その思いに応えたい、そんな気持ちが、心をよぎったのではないか。
さざ波のように立ち上がるファン
試合前のセレモニー。9番打者ということもあって、イチローは野手の最後で呼ばれたが、その影がセンターの大型スクリーンに映し出されただけで、歓声が上がった。
復帰初打席は3回無死。2083日ぶりにマリナーズのユニホームを着てセーフコ・フィールドの打席に入ると、さざ波のようにファンが立ち上がり、やがて球場全体に広がると、声援が調和する。
奇しくも5年半前、ヤンキースにトレードされた直後の打席も、セーフコ・フィールドだった。あの時はファンが立って拍手を送ると、イチローは2度、深々と頭を下げた。
前回は別れ。今回は再会。現象そのものは同じでも、まるで意味合いが違うそれをイチローはどう背中で感じ取ったのか。
立ったままイチローの打席を見つめるファン。場内に鳴り響くイチローコール。捕手がなかなか座ろうとせず、時間を取ったが、イチローがそれに応えることはなかった。
そこには果たして、どんな思いがあったのか。
イチローの2018年が始まった。