ハリル「中島はひとつの発見だった」 国際親善試合 ウクライナ戦後の会見

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まだ23人は決定されていない

ハリルホジッチ監督は「中島はひとつの発見だった」と遠征の収穫に挙げた 【写真:高須力】

──ベルギー遠征での2試合で得られた収穫は? また、これからのメンバー選考で序列が変わるところはあるか? とりわけ本田圭佑についてはどうか?

 このタイミングで、世界中のどの監督も行ったことだが、多くの選手をテストした。けがによりレギュラーとされる5、6人の選手を呼べなかった。われわれはブラジルやフランスではないので、その欠けたところが(チームへの負担として)のしかかってくる。ただ、その中で多くの選手を試し、試すことで得た情報もある。もちろん、すべてが良い情報ではないが、全員が最高の状態ではないと思う。今後もクラブの視察を続けたい。

 たとえば中島はひとつの発見だった。多くの人たちにとってはサプライズだったかもしれないが、長い間われわれは追跡していた。2試合とも途中交代で入ったが、満足のいく姿を見せてくれた。W杯に向けてチームを編成するとき、その中にスピードやパワー、さまざまな要素を入れていく必要がある。23人の中島翔哉を選ぶわけにはいかない。特徴をミックスしていかないといけないが、現時点で言えることは「最終メンバーを選ぶのは大変な作業だ」ということだ。しっかり作成しなければならない。

 どのようなプレーをしないといけないかというのは、私の中にはある。非常にパワーがあって、形を崩さないようなチームと対戦するが、そのW杯の厳しさに応えられる編成にしないといけないし、わなに陥ってもいけない。もちろん応援している方々は、日本がボールを持って仕掛け続けるということを期待するだろうが、そのようなぜいたくなことはできないと思う。ブラジルを見ても、プレースタイルが大きく変わっている。攻撃のみを考えるのではなく、前線、中盤、最終ラインのすべての選手がディフェンスに関わっている。そしてフランスという優勝候補も、先日の試合で少し気を抜いたところで、コロンビアに敗戦を喫してしまった(2−3でフランスが逆転負け)。

 われわれも、自分たちに何ができるかということを認識しなければならない。幻想を抱いてしまっては、わなに陥ってしまうだけだ。もちろん選択のところで、非常にデリケートな判断を下していかないといけない。私は監督として、できるだけ多くの選手に出場機会を与えてきた。そうすることで競争を促してきた。現在、難しい状況にある選手もいるが、まだ23人は決定されていない。いろいろ自問しながら(選考を)進めていきたい。

さらに高いレベルでのプレーが見せられる

──「準備の段階」ということだが、4年前のアルジェリアと比較して、似たような状況なのか? それとも何か違いがあるのか?(六川亨/フリーランス)

 同じような時期に所属クラブでレギュラーで出ていない選手たちがいたので、少し似たようなところがあるかもしれない。ただアルジェリアの場合は、個人で違いを見せられる選手がいた。日本には、そういう選手はあまりいない。また、アルジェリアのほうがパワーもあったかなと思う。ただ、日本の方が規律を守る面はあるが、私がトライしても変わらない部分もある。

 とはいえ、W杯直前に3週間トレーニングできる期間があるので、そこで守備と攻撃の両面で改善できる部分はあると思う。また、それぞれの選手たちがトップコンディションに上げていくことを期待したい。合宿のたびに2試合を行っているが、毎回2試合目の方が良くなっている。今日は敗戦に終わったが、前の試合と比べて内容やハードワークの部分が良くなっていた。ポジディブなものもたくさんあった。

 4、5人の新しい選手が入っている中で、ゲームコントロールや決定力という部分も(良い面が)見られた。日本はさらに高いレベルでのプレーが見せられると思っている。ウクライナは世界のトップ20から30には確実に入る、レベルの高いチームだ。そして彼らも、今後の準備のためということで、しっかり戦っていた。そのような相手に対して、ここまで戦う姿を日本が見せたことを考慮しないといけない。新しい選手が5、6人いる中で戦ったので、(評価が)厳しすぎるのはよくないと思う。ただ、W杯レベルを考えるとさらに(チーム力を)上げていかないといけない。

──前半と比べて後半は選手たちの姿勢が良くなったように感じたが、監督から何か働きかけがあったのか?(大住良之/フリーランス)

 毎試合そうしているが、ハーフタイムで修正した。守備で(酒井)高徳と圭佑のサイドに相手選手がいたので、より縦を切ってプレーしようと言った。そしてわれわれの左サイドで、(長友)佑都、長谷部(誠)、(柴崎)岳の3人がポジションチェンジをしながらトライアングルを作っていた。相手がポジションを入れ替える中で、どうやって相手を捕まえるのかを話した。1対1で形を作られたのは、少し心配なところだった。そしてボールを奪った後のファーストパス、できるだけ早いタイミングでサイドチェンジをしようと要求したが、それがなかった。

 相手のサイドチェンジは素晴らしかった。われわれはそういったところで迫力がなかった。若い選手が多い中で、冷静さに欠けてテクニックのミスが出たことも考えられる。ただ、試合終了間際の3、4分の間にいくつかの決定機を作ることができた。いつも通り、完全に満足はできないがポジティブなものも見られた。選手たちは最後までしっかり戦ったし、最後の3、4分のところで決定機を作っていたので、喜ぶべき部分もある。ただ繰り返しになるが、W杯のことを考えるとまだ十分ではない。そこは認識している。今日の姿を批判されても、それを受け入れながら改善していかないといけないと思う。W杯で結果を残すためには、その改善が必要だ。

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