苦戦の大谷、開幕マイナーの現実味 権藤氏いわく「やられたほうが伸びる」
16日のロッキーズ戦では1回1/3を投げ、7失点を喫した大谷 【写真は共同】
現場にいた野球評論家の権藤博氏は試合後、スコアシートの余白に、「凄かった!」と走り書きし、丸印のなかに「権」とサインを入れたものを、知り合いを介して大谷に渡した。
後日、権藤氏が「受け取ったか?」と聞くと、大谷は言ったそうだ。
「宝物にしてます」
16日には一挙に7失点
衝撃的な結末ではあったが、実は初回の時点で権藤氏は「今日は良くない」と話しており、降板すると「まぁ、こんなもの」と話した。
2日後の18日、今度は打者・大谷を観戦し、4打数無安打2三振に終わると、このときも権藤氏は「こんなものでしょう」と話している。
“こんなもの”とはどういうことか。
「彼はじっくり考え、ジワリジワリと適応していくタイプ。これからですよ。今の段階で良かったら、逆にこの後が心配になる」
雑音も大きくなっており、結果が欲しいところではあるが、高く飛ぶには、一度膝を曲げて体勢を低くしなければ、跳躍力を得られない。
ストライクゾーンの確認、相手投手とのタイミングのとり方など、大谷はぶれることなく調整に専念している。打たれれば、抑えられれば、むしろ課題が浮き彫りになる。それこそが大谷の求めているもの。
18日の試合でも、アレックス・クラウディオ(レンジャーズ)という左の変則投手と対戦し、最後は不思議な軌道を描くチェンジアップに手が出ず見逃しの三振を喫したが、あの球を見られただけでも、収穫があったのではないか。