投球フォーム修正で球速アップ! メジャーリーガー注目のトレーニング

ドライブラインの施設内 【NHK ワールドスポーツMLB】

 メジャーリーグで二刀流に挑む大谷翔平。投手、野手両方での練習や新天地でのプレッシャー、慣れない英語漬けの生活などで疲労が蓄積し、投球フォームを崩さないか心配されている。

 その「フォーム」をめぐり、いまメジャーリーガーの間で話題になっているトレーニング施設がある。シアトルにある「ドライブラインベースボール」だ。トレーナーや医師、動作分析の専門家などさまざまな分野のプロが常駐。科学的で安全な指導が受けられると評判を呼び、現役選手やドラフトを目指す大学生など、年間約500人がここで汗を流している。取材を始めた2月初めには、この春レンジャーズと契約したかつてのサイ・ヤング賞投手、ティム・リンスカムの姿もあった。

特注ボールで練習しデータを確認

ドライブラインでは重いもので2キロなどさまざまなボールを使ってけがをしにくいフォームを身につける 【NHK ワールドスポーツMLB】

 ここではトレーニングに特注のボールを使う。重いもので2キロ。試合で使うボールは約142グラムなので、かなり重い。

専門家の指導の下、それぞれのボールを使ってピッチングを行う 【NHK ワールドスポーツMLB】

 ボールを投げた後は体中にセンサーを装着。モーションキャプチャーを使ってフォームのデータを取り、肩の回り方や関節への負荷などを調べるためだ。この作業を繰り返し、理想のフォームを完成させていくのだという。

 ドライブラインを設立したカイル・ボディー氏は、野球をやっていた高校時代、けがに苦しんだ経験がある。「これまでは練習方法が確立されていなかっただけです。最新の技術で練習方法を作り出せるようになりました」と語る。

バウアーの動画が反響を呼ぶ

モーションキャプチャーでデータを確認し、正しいフォームを身につけていく 【NHK ワールドスポーツMLB】

 正しいフォームを身につけたことで劇的な成長を遂げた選手がいる。インディアンズの投手、トレバー・バウアーだ。昨年まで3年連続2ケタ勝利を挙げた彼が、ドライブラインに通い始めたのは5年前。きっかけはやはり、けがだった。「以前は足を大きく踏み出して、上から投げ下ろすフォームだった。だが股関節と腰をけがしてしまった。ドライブラインでフォームを変えたら、ストレートが速くなったんだよ」と明かす。

 今ではオフシーズンの大半をドライブラインで過ごすというバウアー。今年1月、1つの動画を公開し、反響を呼んだ。その動画の中でバウアー投手は、球速188キロ(116.9マイル)の球を投げていた。助走をつけた投球とはいえ、世界最速男チャップマンの169キロを大きく超える球速だ。

創設者のボディー氏は「最新の技術をもとに練習方法を作り上げた」と語る 【NHK ワールドスポーツMLB】

 ドライブラインによるとフォームを矯正した結果、球速が4、5キロアップした選手が少なくないという。創設者のボディー氏は語る。

「けがの確率が下がる一方で、球速は上がっている。呼ばれればアメリカのどこでも、オーストラリアでも日本でも行きますよ。東京にもぜひ行きたいです」

 今年のメジャーのキャンプ地では、いくつもの球団がドライブラインの練習法を取り入れていた。大谷が新たな戦いの場に選んだメジャーリーグでは、速い球を投げる投手がますます増えていきそうだ。

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NHK「ワールドスポーツMLB」


BS−1で放送しているメジャーリーグ専門番組。投球の軌道をCGで再現できるツール「ゼウス」を独自で開発するなど、データ分析に力を入れています。3月は大谷翔平情報をたっぷりとお伝えします。
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