北京に向け“全日本”としての強化を  船木和喜氏がラージヒル団体を解説

構成:スポーツナビ

ノルウェーはナショナルチームとしての対応が上だった

ノルウェーチームの金メダルはナショナルチームとしての強化の成功例でもある 【写真は共同】

――葛西選手、竹内選手、伊東選手の3人に関してはソチ五輪の銅メダルメンバーでもあります。その3人がいても上位と差がついてしまったわけですが、メダルを獲得した国々とはどんな点に差があったのでしょうか?

 個々の実力差というわけではなく、どちらかと言うと、上位国は技術的なものやトレーニングを統一性を持って取り組んでいます。一方、日本のメンバーは全日本チームとしての強化ではなく、それぞれの企業チームや個々のチームで強化しており、その中から強い選手を代表に招集しています。海外でももちろんクラブチームで活動する選手が代表に参加しているのですが、ナショナルチームとしての強化は、日本とはまったく違う取り組みをしています。

 特に今回金メダルを獲得したノルウェーは、元々、空中の技術に力を入れているチームですが、国として強化したことで、選手たちがそれに応えた形でした。根本的な強化のバランスが上がった結果が、なかなか団体でのメダルが取れなかったノルウェーに金メダルをもたらしたのだと思います。

――国としての強化が今回の大会に向けてうまくいったということですね。

(ソチ五輪が終わった)4年前から、さらに言うとこの五輪会場で行われると分かった時点から、(五輪に向けた)対応はできたと思います。そういう意味で、五輪に向けての準備が他国の方が上だった結果が出たのかと思います。(平昌五輪では)こういうジャンプ台で追い風やいろいろな風が吹くというのは分かっていたことですから。

 今後、どのような対応をして(4年後の)北京に向かうのか。北京の風の状況を調べたり、もし今回と同じような状況であれば、風の対策をしなければいけないです。それはまだ時間がありますので、いろいろなことはできると思います。

“純日本”の技術を磨いて再び頂点へ

4年後の北京では“日本らしい”ジャンプを磨き、再び世界のトップと争ってほしい 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――4年後を見据えて全日本チームとして強化していく必要があると?

 そういうことを一丸となってやらないといけないと思います。日本では個々のチームのカラーが強いのですが、全日本チームとして方向性を合わせるようになって欲しいなと思います。今までは全日本チームが各チームを主導することはありませんでした。長野五輪の頃も、個々のチームにはいろいろなカラーがあり、いろいろな技術を持った選手が集まって全日本チームができ、そして試合に出るという形でしたが、今もそのままで来ています。

 他国のように総合的に底上げするには、全日本チームが指針を持って強化をしていかなければいけないかなと思います。もちろん、全選手を集めて(強化トレーニングを)行うのは難しいと思いますが、全日本としての方針を示し、各チームを指導できるようになれば、また強い日本になれるかと思います。

――実際、近年の世界の情勢で見ると、どんなものがトレンドになるのでしょうか?

 やはり勝ったチームのことになってしまいますが、個人戦でもノルウェーの(団体メンバーの)4人は上位に入りました。それで見ると空中での技術となるでしょう。ただドイツやオーストリアも国としてのカラーがすごく強く、「これが重要だ」とは何とも言えません。

 どうしても他国のマネはシステムも違いますので、そのままはできません。ただ日本は勝った国の情報ややり方などを少しずつ入れながら、日本独特の“純日本”、日本らしいジャンプを磨いていければと思います。

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