平昌五輪スロープスタイルの楽しみ方 アイテム選定や優雅な空中遊泳に注目

野上大介

技の難易度や表現力が評価対象

スノーボードのスロープスタイルの特徴は? 【写真:ロイター/アフロ】

 2014年のソチ五輪から五輪正式種目として採用されたスロープスタイル。ジャンプとジブ(レールやボックスと呼ばれる障害物)とに分けられ、それぞれのセクションでのアイテム選定に表される個性や滑走スキルをベースに、そこで繰り出される技の難易度や表現力が評価対象となる採点競技だ。

 平昌五輪のスロープスタイルコースはジブセクションが前半に、後半にはジャンプセクションが、それぞれ3カ所ずつ計6セクション連なっている。このコースを利用してスピードではなく、技の難易度や表現力を競う。

 予選はひとり2本、決勝はひとり3本滑った中からベストポイントで争われる。ジブセクションでは滑るアイテムを自由に選定でき、ジャンプセクションでは主にスピントリックが繰り出されることになる。

 腹を進行方向へ向ける回転がフロントサイドスピン、背を進行方向へ向ける回転がバックサイドスピンとなり、回転は横方向、縦方向、斜め方向など多種多様。スピントリックは最小単位にあたる半回転が180(ワン・エイティ)、1回転は360(スリー・シックスティ)と呼ばれ、3回転であれば1080(テン・エイティ)となる。

 演技全体の印象、エアの高さ、難易度、完成度、多様性などの視点から採点される。ジブセクションでのアイテム選定に各選手の個性が投影され、ジャンプセクションでは回転数や難易度ばかりでなく優雅な空中遊泳に注目したい。

各ライダーの個性に注目

 予選はオーバーオールジャッジングと呼ばれる全体の印象で採点する方式だ。6名のジャッジが1人100点の持ち点で採点した点数の最上位と最下位をカットした4名による得点の平均が各ライダーのポイントとなる。

 決勝ではSLSジャッジングと呼ばれる採点方式が導入され、2つのセクションに対して2名のジャッジを配置。各セクションはその2名による平均点が10点満点でつけられるため計60点、残り40点はオーバーオールジャッジングとなり、3名のジャッジによる平均点がつけられる。

 このことから、予選は全体的な印象により決勝進出者をふるいにかけ、決勝では各セクションで繰り出されるトリックのディテールまでもが採点対象となるというわけだ。多様な滑走ラインが選択できるジブセクションでは、比較的トリックを仕掛けやすいアイテムで高難度な技を魅せるか、はたまた攻略しづらいアイテムで個性を発揮するか。

 ジャンプセクションでもストレートに飛び出せるキッカーを利用して高回転スピンや回転軸が複雑な3Dスピンを繰り出すのか、またはキックと呼ばれる飛び出し口が斜めになっているものやヒップと称される上に飛び上がるジャンプ台で回転数を抑えながらも独自性を追求するか。各ライダーの個性に注目したい。

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著者プロフィール

スノーボードジャーナリスト。1974年生まれ。スノーボード歴25年。全日本スノーボード選手権大会ハーフパイプ種目に2度出場するなど、複数ブランドとの契約ライダーとして活動。2004年から世界最大手スノーボード専門誌の日本版に従事。約10年にわたり編集長を務め、16年3月に退社。同年8月、『BACKSIDE』をローンチ。各種スノーボード競技において、テレビでの解説やコメンテーターとしても活動中

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