武井壮が「勇気をもらった」パラ柔道とは 見えない世界で感じた相手の存在
パラ柔道に挑戦した武井さん 【スポーツナビ】
スポーツナビは、陸上・十種競技の元日本チャンピオンでタレントの武井壮さんがパラ柔道を体験するNHKの取材現場に同行。武井さんにパラ柔道を体験して感じたことや魅力を聞いた。
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以前の視覚障がい競技の経験が生きた
視覚はふさがれていますが、相手と体を密着させて、力を感じられるので、思った以上に伝わる情報が多いんです。相手がいろいろな崩しや技を仕掛けてくるので、それに引っかからないように自分の組み手をしっかり取って、体勢を崩されないようにして必死に防御しましたが、ぶん投げられました(笑)。でも、組んでいるとなんとなく相手の存在を感じることができる。動けば動くほど、知れば知るほど、視界をふさがれた世界で見えてくるものが広がっていく。その感覚は他の視覚障がい者スポーツと同じく素晴らしいものでしたね。
選手たちは「手が視覚」と言っていましたが、僕はまだそこまでは感じられませんでした。まず柔道をきちんと理解することで相手の動きが見えてくると想像しています。柔道の稽古をしてもう一度彼らと組み合いたいですね。
車いすテニスでも、自分の足で動くことはできませんが、ラケットを使って正確にボールをヒットできる基礎的な技術を身に付けて、まずテニスをプレーできるようにする。その上で車いすを操る技術を高めて、良いポジションを取ることができれば強くなる。ブラインドサッカーでも、ドリブル・トラップ・シュートなど基本のプレーを身に付け、その上で動く音や人の気配を感じれば、良いプレーができます。障がいを持っていても、その中で自分の能力や世界を作っていくものがパラスポーツだと思います。毎回違う競技にチャレンジしていますが、同じ能力を鍛えているような感覚に陥り、技術の幅が広がっていく。パラスポーツはどれも互換性があって、無限の可能性があると思います。
健常者の柔道と同じ技術の高さ感じた
視覚が無い中での試合は、組み合って感じる力や、相手が動いている音などを意識してあらゆる状況に対処します。見えない中での受身や、相手とのコンタクトで磨かれる対応力は、柔道だけでなく、視覚障がい者の方の日常生活で、自分の身を守ることにもつながっています。もしかしたら「見えない世界をすごく支えてくれる」のがパラスポーツの柔道ではないかと感じました。
パラスポーツは楽しいと感じてほしい
誰かに勇気を与えられたらいいなと思ってタレントのお仕事をしていますが、僕が逆に勇気をもらいましたし、自分のスポーツへのモチベーションにもつながりました。僕がそのことで恩返しができるとすれば、それは大勢の人にパラスポーツを見てもらい「楽しいじゃないか」と感じてもらうことだと思います。
より多くの人が、パラスポーツ、2020年東京パラリンピックに興味を持ち、全会場満席になるようなお手伝いをさせてもらいたいな、と思っています。またひとつ、おすすめのパラスポーツが増えましたね。
陸上・十種競技の元日本チャンピオン。スポーツ番組やバラエティなど、テレビやラジオを中心に活躍しつつ、2015年フランスで行われた世界マスターズ陸上の4×100mリレー(M40クラス)で金メダルを獲得。今でもさまざまなスポーツにチャレンジし続けている。現在はプロテストを目指してビリヤードにも挑戦中。
■「ひるまえ ほっと」
月〜金曜 11:05〜11:54 NHK総合(関東地域のみ)
「百獣の王」武井壮さんがパラスポーツに挑戦、トップアスリートと真剣勝負!
次回放送は1月19日(金)「バドミントン」。百獣の王、戦いの結果は…。お楽しみに!
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