大井に君臨する伝説の場立ち・吉冨隆安 今年最後の大勝負!東京大賞典の軸はコレ

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暮れの大一番で波乱を運んでくる使者はミツバ

 寂しいことだが、我が地元・南関勢や他の地方所属馬では厳しい。地方勢の総大将となるヒガシウィルウィンはJRA馬との交流重賞である浦和記念で2着に入っているが、勝利したマイネルバサラはJRAで1600万下を勝ち上がったばかりの馬だった。歴戦の強者が集まる大賞典では頑張っても掲示板止まりだろう。

 レースレベルを考えれば、12月にJRAで行なわれたチャンピオンズCのレベルが高い。勝利したゴールドドリームこそ、直線で差し込んできたが、基本的には前残りの競馬だった。スローペースまたはスローに近いミドルペースといったところだろう。チャンピオンズCで1枠1番を引き逃げたコパノリッキーの3着はそれほど大きな価値はない。JBCスプリントを使っての参戦は、チャンピオンズCに向けて逃げるための秘策だったはず。もちろん、展開ハマる可能性もあるだろうが軸にはできない。

僅差の一番人気ながら、しっかりと人気にこたえて完勝したミツバ。写真は2017年マーキュリーC。(C)武田明彦 【netkeiba.com】

 チャンピオンズCは、ぜひともミツバの走りを映像で見てほしい。道中は勝利したゴールドドリームと似たような位置にいたが、4角では馬群のなかを上がっていく同馬に対し、ミツバはムチを連打しながら外を回っている。それでいて0秒4差6着というのは、大井へと舞台に移せば必ず一変するだろう。天候次第の面もあるが、冬場のパサパサした大井コースでこそ。心情的には若武者である松山騎手に手綱を引き続き取ってもらいたかったところもあるが、リーディング上位のM.デムーロ騎手なら鬼に金棒だろう。

 16年ブラジルCは横山典騎手が逃げの手で快勝させ、それまでの走りを一変させたこともある。差し追い込み馬といっても、本質的には逃げ馬の気性を持った馬かもしれない。つまり、群れを嫌い、束縛を嫌う孤高のタイプ。「後方で逃げている」のがミツバなのだ。M.デムーロ騎手がミツバの新しい面を出してくれることに期待したい。

サウンドトゥルーは展開に左右される脚質だが、その実力は本物。ここでも軽視できない一頭だ。写真は2017年JBCクラシック。(C)高橋正和 【netkeiba.com】

 対抗格は、やはりチャンピオンズCで差し損ねた組だろう。説明するまでもなく、サウンドトゥルーは15年の同レースの覇者で昨年3着。同じ舞台で行われた、今秋のJBCクラシック快勝なら侮れない。ただし、チャンピオンCではミツバの後塵を拝してしまったのも事実だ。アポロケンタッキーは状態がカギとなるだろう。昨年の覇者だし、日本テレビ盃ではサウンドトゥルーを抑えて勝利もしている。取り消し後の一戦でどうなるのか。

連覇がかかるアポロケンタッキーは、取消後の仕切り直しの一戦となる。写真は2016年東京大賞典。(C)高橋正和 【netkeiba.com】

 インカンテーションも先行力は魅力だが、一気にメンバーもアップする。コパノリッキーの出方次第では、厳しい展開になることが予想される。ケイティブレイブは今年、個人的には大変世話になった馬だ。帝王賞やJBCクラシックを的中させることができたのは、この馬のお陰。帝王賞はまさかの追い込みだったが、JBCクラシックでは差してきて2着を確保しているように、脚質の幅も広がった。前走のように先行するよりも、パサパサの大井ダートなら差しに回ってもいいだろう。

 ロンドンタウンもエルムSでチャンピオンズC2着のテイエムジンソクを破っている馬だが、帰国初戦とはいえチャンピオンズCで大敗と状態面に疑問が残る。予想自体は公開日ギリギリまで考えさせてほしいが、さまざまな状況を考えればミツバで軸不動という思いは変わらない。

 東京大賞典以外にも、30日東京シンデレラマイル、31日東京2歳優駿牝馬と連日、重賞が行われる。17年最後の旅路が皆様にとって幸多くあらんことを祈るべく、先導氏または道先案内人なるべく、寒さに土埃舞ういつもの舞台で最後の闘争を繰り広げることを約束しよう。

 末筆ながら、今年一年ゲート・インの競馬研鑽のご支援感謝申し上げ、新年は皆様に佳き年でありますように。

文:吉冨隆安
1947年鹿児島県生まれ。大井競馬場公認予想「ゲート・イン」主宰。大阪市立大学法学部中退後、さまざまな職業を経て大阪で起業するも、数年後に上京。一時期、学習塾講師と競馬予想屋を両立させていたこともある。平成元年から「ゲート・イン」の屋号で、大井競馬場で場立ち予想を行っている。つねに「競馬が市民の投資対象たる金融商品なら、僕の予想は商品説明である」との信念のもと、確固たる軸馬を1頭決める「実走着差」理論で、競馬との孤独な戦いを続ける。

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