ゴルフ日本シリーズJT杯で生まれた伝説 今年は小平、池田、宮里による争いに注目
男子ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」がいよいよ開催! 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
その後、賞金ランク上位者などにも出場権が拡大され、現在では日本ツアー競技優勝者や賞金ランキング上位者など30名に出場権が与えられている。その年に活躍した一部の選手にしか与えられない日本シリーズの出場権を得るのは大変名誉なこと。若手の中には「日本シリーズ出場が目標」と語るプロも少なくない。
青木vs.尾崎の激闘、尾崎直道の男泣き
JTカップの中でも幾多の名勝負を繰り広げてきた尾崎将司(左)と青木功 【写真は共同】
尾崎将司と青木功によるあまたの名勝負の中でも、80年大会は特に見応えがあった。その年の全米オープンでジャック・二クラス(米国)と死闘を演じた青木功。“世界の青木”という名声を確立し、本大会でも優勝候補の筆頭だった。期待どおりトップで最終日を迎えたが、1打差の2位には尾崎が追走。結局、最終日に「68」の好スコアを出して青木を抜き去った尾崎が大会史上最多となる5度目の優勝を決めた。
また91年大会の尾崎直道の涙を今でも思い出すファンは少なくないだろう。大会前日、父がなくなり兄弟の将司、健夫の2人は葬儀のために欠場。兄・将司からの助言もあり賞金王を狙う直道のみが出場を決意した。初日を終えた後、徳島県で行われた通夜に出席して翌朝すぐに東京の会場に舞い戻ると、2日目からは神がかったナイスプレーを連発。結局2位に8打差をつけての圧勝で、賞金王も確定的にした。ホールアウト後の男泣きには、ファンやプロ仲間までもがもらい泣きした。
98年大会の尾崎将司と宮本勝昌との4ホールにわたるプレーオフもギャラリーを興奮させた。5年連続賞金王を狙う当時圧倒的な強さを見せていた尾崎に、日本シリーズ初出場となる宮本が挑む構図。プレッシャーで自滅する若手選手は数多くいたが宮本は違った。プレーオフの18番。外したら負けという約1.5メートルのパットを残した。ギャラリーが固唾(かたず)を飲んで見守っていると、おもむろにティッシュを取り出し鼻をかむ余裕。ギャラリーからは笑いが起こり雰囲気が和やかになった後、宮本はしっかりとパットを沈めた。結局、プレーオフ4ホール目の17番でバーディを奪った宮本が尾崎を破り、JTカップ初優勝を勝ち取った。
宮里優作は史上初の“選手会長賞金王”を目指す
注目選手の1人が今季賞金王争いを繰り広げる小平智だ 【写真:青木紘二/アフロスポーツ】
シーズン後半戦から快進撃を続けているのが昨年の賞金王・池田勇太。今シーズン前半は海外の試合を優先したため出場試合が少なかったが、8月下旬の「RIZAP KBCオーガスタ」で今季初勝利。9月、10月も1勝ずつあげ、賞金王争いに絡んできた。昨季のオフから肉体改造に挑戦した効果が出てきており、今季飛距離が20ヤード近くアップしている。昨年以上のダイナミックなゴルフで2年連続の賞金王を目指す。
ニューヒーローが誕生することも本大会の魅力の一つだ。尾崎将司、羽川豊、そして宮本勝昌などの名選手は、かつて本大会を初出場での優勝を飾っている。今年、出場権を得た選手の中には、今平周吾、小鯛竜也といった今季ツアー初優勝を飾った選手も含まれる。また賞金ランキング上位につけ、初出場となる20代の選手たちが、今後のスターの座を奪えるかどうかにも注目したい。
そして選手会長の宮里優作にも目が離せない。4月下旬の「中日クラウンズ」、そして5月の「日本プロゴルフ選手権」と2大会連続優勝。さらに10月の「HONMA TOURWORLD CUP」にも勝利し、3勝目を挙げた。昨年から就任した選手会長としての功績も上げており、クラブハウス周りや練習場など、試合に影響しない場所での写真撮影や動画撮影を解禁し、多くのファンを喜ばした。かつて、会長でありながら賞金王を獲った選手はいない。史上初となる“賞金王会長”の快挙を成し遂げられるか、そのプレーにも期待したい。
※成績データは11月7日時点のもの。11月9日〜12日開催の「三井住友VISA太平洋マスターズ」では今季2勝目を飾っている
真の王者は誰だ! ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」
数々の名場面を生み出してきたこの大会。トップ選手たちのプレーに最後の最後まで目が離せない展開となるだろう。白熱する賞金王争いを制する選手とともに、今季の“王者の中の王者”が決まるメジャー最終戦。「最後の戦い。真の王者は誰だ?」
<テレビ放送予定>
日本テレビ系全国ネット
【大会3日目】
12月2日(土)13:30〜14:55(22局ネット 生中継)
【大会最終日】
12月3日(日)15:00〜16:55(31局ネット)
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