イチローのマリナーズ復帰の可能性を探る 戦力的なニーズを超えた判断もある?

丹羽政善

「歴史と郷愁が要素になる」との見方も

マーリンズの編成部門のトップを務めるジーター氏。年俸総額を削減し、チームの再建を目指す 【Photo by Mike Ehrmann/Getty Images】

 そんな一方で、マリナーズ復帰を予想する人が少なくない。

 大リーグのビジネスに関する話題を専門に扱うモウリー・ブラウン記者も、「“マリナーズに戻ってきてくれ”という叫びが聞こえる」とツィートし、4日の米ヤフー・スポーツには、「次は、マリナーズと再契約か」という見出しの記事が載った。

 後者は、「正直、イチローの選択肢は限られる。ビジネス的な側面まで合わせ考えれば、これまでの歴史と郷愁が要素になるのではないか。そうなれば、マリナーズが浮上する」と話を進めているが、確かにその2つは、要素になりえる。

 現実問題、マリナーズは、ジャロッド・ダイソンとの再契約を見送れば、外野の枠が一つ空く。マイナーにも有望選手はいない。ただ、そうした戦力的なニーズを超えたところで判断が下されるのだろう、という考え方はもっともに映る。

 補足すれば、マリナーズがイチローと再契約するとしたら、それはジェリー・ディポートGMの判断ではなく、おそらくもっとも上。オーナーグループの意向である。仮にまだ、任天堂が筆頭オーナーであるなら話は早かった。3番手となったことでその影響力がどの程度か不透明だが、まもなくシアトルでマリナーズのオーナー会議が行われるはずなので、そこでイチローについても話題に上るに違いない。

シアトル地元紙のアンケートでは半々

 振り返れば、14年のオフもマリナーズは獲得を検討していた。もしもマーリンズがあそこまで積極的に動かなければ、復帰という可能性もあった。ちょっとしたタイミングの差だったとも聞く。 

 いずれにしても移籍先は、そのチームの監督を含めた首脳陣にイチローとの接点が過去にあり、数字に現れないイチローの貢献をどう評価するか、という点を見極めれば絞れてくるのではないか。

 よって、最終的にマーリンズと再契約、ということになっても不思議はないが、先程も触れたように、状況がはっきりしてくるとしたらウインターミーティングが終わってからか。マリナーズに関しては、オーナー陣による今季の総括会議で、方向性が見える可能性もある。

 ちなみに、シアトルの地元紙『シアトル・タイムズ』紙が4日、マリナーズはイチローと再契約すべきか、というアンケートを電子版で行った。

 5日、午前11時半の時点でまだ291票しかないが、YESが47.08%。NOが52.92%でややNOが上回っている。

 ほぼ半々という結果は、それはそのまま、マリナーズがイチローと再契約する確率を、案外、正確に反映しているかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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