東京五輪へ、ビーチバレー界に起きた変化 越川、二見ら転向組が存在感を発揮

女子は二見、橋本が台頭

高いブロックと豪快な強打を武器に、国内ツアーで3勝を挙げた二見 【写真/ビーチバレースタイル】

 女子ビーチバレーボール界でも、改革が起き始めている。

 V・プレミアリーグにいた二見梓(東レ→東レエンジニアリング)、橋本涼加(デンソー→トヨタ自動車)が昨季よりインドアから転向。身長180センチを超える大型選手たちに対し、ベテランの西堀健実(トヨタ自動車)は、「これまでにない高さ」と意識している。

 二見は、今季の開幕戦で初優勝。シーズン終盤は調子の波に悩まされたものの、国内のレギュラーツアー9戦で3勝を挙げた。二見の大きな武器は、砂の上でもぶれず、重心が安定している高いブロックと豪快な強打。二見自身も、ビーチにきてから自分の伸びしろを感じている。

「インドア時代はジャンプしてもバスケットリンクに手が届かなかったけれど、先日やってみたらリンクに手が届いた。確実にジャンプ力が上がっているので、ビックリした。今はそのチカラをどうプレーにつなげるか、イメージして取り組んでいる」(二見)

世界を身近でイメージできる

ペアを組む溝江(写真左)は、「もっとも爆発力が高いのは橋本」と期待を寄せる 【坂本清】

 橋本も、国際大会の出場権が懸かる大一番となった大会で初優勝(第7戦平塚大会)。パートナーの溝江明香(トヨタ自動車)が「もっとも爆発力が高いのは橋本」と評するように、迷いを吹っ切ったときのダイナミックな動きは世界レベルだ。

 今季、存在感を発揮し、瞬く間に日本のトップへ躍り出た大型新人たちは、停滞する女子ビーチバレーボール界に変化をもたらしている。

 10年から日本代表として世界を転戦してきた溝江は言う。
「今まで日本チームの特徴といえば、身長がない分、ショット(軟打)でかわしてブロックもつかずにフェイクしてレシーブするカタチがベースだったけれど、今季は強打をたたける選手が増えた。ディフェンス面でも、ブロックありきで戦術を組み立てるチームが増えた。まだまだ発展途上だけれど、チームのスタイルが多様化してきたことで、日本全体のレベルも上がっていくと思う」

 近年、女子ビーチバレーボール界をリードしてきた石井美樹(湘南ベルマーレ)・村上めぐみ(オーイング)組も、簡単には勝てなくなった。「二見選手の高さは、やっぱり嫌。あのブロックは幅もあって威圧感がある。だから、一定の攻撃テンポで仕掛けるのではなく、状況を見て工夫して攻撃している」と述べる。二見、橋本という大型選手たちと国内大会で対峙(たいじ)することで、世界クラスを身近でイメージすることが可能となった。

今季の変化は飛躍の足がかりとなるか

 今後、東京五輪の開催地である品川区では、18年に五輪のプレ大会として国際大会の開催も予定されている。選手たちは、着実にステップアップを遂げたいところだ。リオデジャネイロ五輪が終わり、東京五輪に向けた最初のシーズンに起きた底上げは、飛躍の足がかりとなるか。残された時間はあとわずかである。

 越川は言う。
「成長の度合いは時間軸ではない。何をどう経験してどう考えていくかが重要。それはインドアでもビーチでも同じだと思う」

 18年シーズンは、これまでのレベルを突き破る、新たなビーチバレーボール界が見られることを願っている。

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著者プロフィール

ビーチバレースタイル/2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

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