F1参戦決定のガスリーや山下ら、スーパーフォーミュラで活躍する新人たち

吉田知弘

日本人ルーキーでは山下に期待

山下は東海大に通う大学生ドライバー 【写真:吉田成信】

 今シーズン、唯一の日本人ルーキーとして国内トップフォーミュラに挑戦している山下健太。昨年の全日本F3選手権でチャンピオンを獲得し、今年はスーパーフォーミュラにステップアップ。歌手・俳優としても活躍する近藤真彦氏が監督を務めるKONDO RACINGから参戦している。

 普段は東海大に通う現役大学生で、サーキットで見せる柔和な笑顔で知られているのだが、いざコックピットに座ると先輩ドライバーを上回る走りを披露する。序盤戦から上位に食い込む走りを見せ、第2戦岡山Race2で予選2番手を獲得すると、第4戦もてぎでは、ルーキーながら見事PPを獲得。他チームからも警戒されるほどの速さを見せている。

 第5戦オートポリス、第6戦SUGOともに苦戦を強いられノーポイントに終わったが、彼も大の負けず嫌い。「ここまで来たら表彰台や優勝を取りたい」と常に闘志を燃やしている。次回の鈴鹿は8月のスーパーGTでGT300クラスのコースレコードを塗り替える速さでPPを獲得したコース。十分に期待できそうだ。

 山下のチームメイトであるニック・キャシディも今シーズン活躍しているドライバーの一人。15年の全日本F3選手権チャンピオンで、スーパーGTでもGT500クラスで活躍中のドライバーだ。第2戦岡山のRace1では見事3位表彰台を獲得し、第6戦SUGOではコースレコードを更新する速さでPPを獲得。持ち前のパフォーマンスを存分に発揮している。ここ数戦、不運も重なって決勝レースでは結果が出てはいないが、マシンの仕上がりをはじめ、条件が重なれば最終戦で初優勝を飾れるだけの実力がある。KONDO RACINGとしても9年間勝利から遠ざかっているだけに、最終戦では何としても一矢報いたいところだろう。

ゲームで腕を磨いた異色ドライバーも

ゲームで腕を磨いたという異色の経歴を持つマーデンボロー 【写真:吉田成信】

 そして、異色の経歴でスーパーフォーミュラにステップアップしてきたヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。彼は日産のGTアカデミー出身で、ゲーム「グランツーリスモ」で腕を磨き、そこからレーシングドライバーとしての道をつかんだという珍しいキャリアの持ち主だ。昨年から舞台を日本に移し、今年は星野一義監督率いる「ITOCHU ENEX TEAM IMPUL」のシートを獲得。常にポイント圏内を争う走りを見せるが、あと一歩のところで不運に見舞われて結果が伴わないことも少なくなかった。

 しかし、着実にマシンの仕上がりとともに調子を上げてきており、最終戦の鈴鹿でもその走りからも目が離せない。

 今シーズンも残り1大会のみとなったスーパーフォーミュラ。ドライバー・チームの両部門ともチャンピオン争いは激戦となっており、最後まで誰が勝つか分からない戦いになりそうだが、それと同時に先輩ドライバーを超えるべくトップを目指してきたルーキーたちの2017シーズン集大成のレースも必見だ。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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