いまだ色褪せぬ女傑ライバル物語 ウオッカ対スカーレットどっちが最強?
競馬ファンを熱くする『最強馬論争』
ウオッカ(左)とダイワスカーレット、最強牝馬はどっちだ!? 【スポーツナビ】
キタサンブラックが狙う秋の王道三冠(天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念)、それを阻止せんと藤沢和雄厩舎が送り込む3歳ダービー&オークス馬、レイデオロとソウルスターリング。一方、その2枚看板が不在となった3歳牡牝の三冠最終戦でニューヒーローは誕生するのか? ニューヒーローと言えば、スプリント&マイル路線からもかつてのロードカナロア、モーリス級の新星登場を期待したいところだ。そして、ここ日本だけではなく、海外に目を移せばサトノダイヤモンドが満を持して芝世界最強を決めるフランスの凱旋門賞に挑戦。今週末の10日にはさっそくステップレースのフォア賞に参戦し、フランスでの初戦を迎える。日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇はなるか否か、これこそが2017年秋一番の関心事というファンも少なくないはずだ。
このように今年下半期も競馬ファンの興味が尽きない話題にあふれているわけだが、競馬シーズンが本格化すると、決まってファンの間で白熱するのが『最強馬論争』だ。いつの時代にも“その時代”を彩った名馬が存在し、当時のファンは熱狂した。シンボリルドルフやディープインパクト、オルフェーヴルなど実績が示すとおりの歴史的名馬もいれば、ハイセイコー、オグリキャップのように社会現象を起こした馬もいる。いや、それら以上に、個人的な思い入れの深さでコイツだけは譲れないという「自分だけの最強馬」が、競馬ファンならば必ず1頭はいるはずだ。
歴史的偉業を次々成し遂げたウオッカ
ウオッカが07年日本ダービーを快勝、64年ぶりの牝馬によるダービー制覇の快挙だった 【スポーツナビ】
ウオッカは言わずと知れた2007年の日本ダービー馬。通常、3歳牝馬は桜花賞→オークスを春の目標にするものだが、ウオッカはダービーを目指した。しかも、桜花賞で2着に敗れての参戦だっただけに、競馬関係者やマスコミからも「無謀」の声が上がっていた。しかし、ふたを開けてみれば同期の男馬を置き去りにする3馬身差の圧勝。馬場のど真ん中を鮮やかに突き抜けたシーンは、当時リアルタイムで見ていたファンであれば絶対に忘れることができない――それほどまでに劇的で、感動的な場面だった。そして、それは同時に64年ぶりの牝馬によるダービー制覇という、競馬史上に残る歴史的な瞬間でもあったのだ。
ウオッカにはとにかく“華”があった。彼女の偉業はダービーだけではない。爆発的な末脚を武器に08年&09年GI安田記念連覇、09年GIジャパンカップVなど、牡馬を蹴散らし積み上げたJRA・GIタイトルは7勝。これはシンボリルドルフ、ディープインパクト、テイエムオペラオーらと並ぶ最多勝利記録だ。ちなみに、この7勝のうち09年安田記念は鞍上の武豊以上に、敗れた2着ディープスカイの四位洋文、4着カンパニーの横山典弘らの方がウオッカの強さに脱帽し、絶賛したレース。残り100mでの大逆転劇は今でも鳥肌ものだけに、機会があればぜひ動画で見てほしい。
“完成された強さ”ダイワスカーレット
ダイワスカーレットは08年の有馬記念を勝利、牝馬の有馬制覇は37年ぶりのことだった 【スポーツナビ】
また、牡馬をねじ伏せ歴史的な快挙を成し遂げたのは、何もウオッカだけではない。このダイワスカーレットも、4歳の08年にグランプリ有馬記念を快勝。牝馬が有馬記念を勝つのは実に37年ぶりのことだった。並み居る強豪牡馬をまるで子ども扱いにしたこちらのレースもやはり鳥肌ものだけに、機会があればぜひ動画で見ていただきたい。