清宮幸太郎に見た心地いいリーダーの姿 日本代表主将としての自覚十分
木製にも対応して108、109号
地方大会後、木製バットで打ち込んできたという清宮。練習試合では108号、109号と2試合連続本塁打を放った 【写真は共同】
今春の関東大会、今夏の甲子園で優勝した花咲徳栄の綱脇慧から打った打球はライトへの弾丸ライナーだった。「低めを巻き込むとヘッドが返る。自分らしい打球」と言っていた。合宿でのフリー打撃ではライナー性の打球でライトのスタンド越えが多かった。108号はボールが高かった分、角度がついて130メートル飛んだイメージだ。
翌日の練習試合では109号。これは右投手の低めの変化球をすくい上げて場外に。バットにボールを乗せて運ぶ打球。いろいろなバリエーションを木製バットでも実証して見せ、「木製でも飛距離は変わらない。自信になった」と不敵に笑った。2日間、打たれた大学生の投手に「投げる球がなかった」、「この球場であそこまで飛ばした選手はいない」と言わしめた。
「さすが大学生のボールでした」と言って3球三振もあったし、詰まってキャッチャーフライもあったが、「調子はいいです」。カナダでホームランを積み重ねるかもしれない。そういえば北米大陸は2012年にリトル世界一になって「和製ベーブルース」と言われた土地。凱旋して成長を見せることができるか。
主軸は中村、清宮、安田の並び順
キャプテンとして自覚は十分だ。とにかく声が出ている。ピッチャーのストライクには「ナイスボール!」。タイムリーヒットには「よっしゃっ」。ベンチの横にいると、聞き慣れた清宮の声がひときわ聞こえるし、グラウンドレベルの近い距離から撮影しているカメラマンによると、「誰より一番、声が出ている」という。本人も「中だるみでみんなの声がなくなることがあるが、自分が率先して出すようにしている」と言う。
仲間の後方支援も買って出る。フリーバッティングの後はボール拾いを率先してやるし、かごに入ったボールを自ら運ぶ。キャッチャーにマスクを手渡したり、防具をつけたり。
また、こんなこともあった。最後の練習試合を終えて、大学の室内施設を引き上げるとき、使っていたスリッパを「きれいにそろえて帰ろう」とみんなに一声。野球の技術だけではない、心地いいリーダーの姿を見た。
ジャパンを率いて、清宮の高校野球生活は、どんな締めくくりになるだろうか!?