数字が物語るネイマールのPSG移籍 意味を成さないFFP制度と複数年契約

浮き彫りとなった代理人の影響力の強さ

ネイマールの穴を埋めるための補強として、ディバラ(右)ら、多くの選手が話題に挙がっている 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】

 はたしてバルセロナは、どのような形でネイマールの穴を埋めるのか。

 前線に南米トリオが君臨した昨季までは、ベンチを温めることを分かっていながらバルセロナに来ることを望む選手などいなかった。それが今ではフィリペ・コウチーニョ、パウロ・ディバラ、アントワーヌ・グリーズマン、エデン・アザールといった名前が浮上しているが、バルセロナは慎重に事を進める必要がある。破格の補強資金を手に入れたことを知っているだけに、どのクラブも高額の移籍金を要求してくることが確実だからだ。

 ネイマールのPSG移籍は、選手の代理人が持つ影響力の強さもあらためて浮き彫りにした。UEFAは収入を上回る支出を許さないFFP制度を設けて各クラブを監視している。だが、マンチェスター・シティやPSGといった金満オーナーをバックに持つクラブは、外から得たスポンサー収入という形で、オーナーのポケットマネーをつぎ込み、スター選手たちを買い集めている。

 引き抜かれる選手の多くは所属クラブと複数年契約を結んでいるものの、それも実質的には意味を成していない。所属クラブと6カ月以上の契約が残っている選手は他クラブと契約交渉をしてはいけないというUEFAの規定もそうだ。その点、UEFAのライセンス部門を統括するアンドレア・トラベルソはイタリアメディアの取材に対し、「PSGやマンチェスター・Cに支払える金があるのならば、われわれにできることは少ない」と説明している。

 ネイマールはバルセロナでの成功より、PSGのオイルマネーを選んだ。結局、その理由を何よりも明快に説明できるのは、彼の移籍によって生じた天文学的な数字の数々しかないのである。

※移籍金は推定で、日本円は17年8月7日現在のレートで換算

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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