広島・会澤が語る勝つための捕手の役割 「投手を誰よりも分かっていないと」

週刊ベースボールONLINE

昨季の優勝でさらなる意欲が

今季は主力投手とも多くバッテリーを組んでおり、投手の好みに合わせて構えを使い分けている 【写真:BBM】

──昨季、チームとしてはリーグ優勝を果たしましたが、会澤選手は右手人さし指の炎症で試合に出られない時期もあり、不完全燃焼だった部分もあるのでは。

 すごくいい経験はさせてもらいましたけど、僕としてはもっともっと試合に出たい気持ちが強くなりましたし、その気持ちはいまも常に持っています。そのためには1試合1試合必死にやって、それがチームの勝利につながれば。優勝したチームで1年間プレーできたことは自信になりましたが、そこで満足せず、最終的には日本一を目指していかないといけません。

──今季、連覇を目指すチームでは、会澤選手、石原選手という2人の捕手が両立していることが大きな強みになっているように感じます。会澤選手にとって石原選手はどのような存在でしょうか。

 経験豊富ですし、多くの修羅場をくぐってきた方ですから、一つひとつの仕草や配球は必ず見るようにしています。チームにとっても新井(貴浩)さん、石原さんは精神的な支柱で、困ったときに質問をしてもしっかり答えをもらっています。

──練習中から会話を交わすところも多く、情報の共有もしっかり行っている印象です。

 ライバル、ライバルと言われますけど、じゃあ、チームが何に向かってやっているのかということが大切で、チームは優勝を目指しているのだと僕は考えています。実際に受けているのと、ベンチから見ているのとはやっぱり違うんですよ。バッテリー間でしか分からないことはたくさんありますし、同じ方向に向いてやっているチームメートですから。

──あくまで優先するのは……。

 チームの優勝ですよ。やっぱり何回でもビールかけをしたい。

──昨季に優勝を経験して、その意識がさらに強くなったのでは。

 そうですね。どんなものか最初は分からなかったですから。さらに、日本一になってやるビールかけはまた違うんだろうな、とも思います。

痛みに強くないとやっていけない

──その一方で、7月2日の中日戦(マツダ)では磯村嘉孝選手がプロ初本塁打を放ち勝利に貢献。ファームでは坂倉将吾選手が高い評価を得ており、下からの突き上げもあります。

 それはチームにとって素晴らしいことで、僕も頑張らなくちゃいけない。この世界は結果を残さないといけないところですし、みんなが必死になってやることがチームのためになると思います。誰だって試合に出たいですし、イソ(磯村)なんかなかなかチャンスがない中で、ああいう場面で結果を残せたことは自信になるでしょうし、僕もそういう経験は何度もしました。石原さん、倉(義和、現2軍バッテリーコーチ)さんがずっと主戦で出ていました。第三のキャッチャーはそういうところでアピールしていかないと、出場機会は増えていきませんから。

──大事な後半戦に向けて、どのような貢献をしていきたいですか。

 チームが勝つことにどれだけ必死こいてやれるか、それだけです。守備も、打撃も。

──数字はいかがでしょうか。

 最後についてくるものだと思っているので、数字的な目標は……心に隠し持っておきます。僕の中で“何か”はありますけど(笑)。

──15年シーズンの当初、黒田さんは会澤選手とバッテリーを組んでいましたが、途中から石原選手に変更となりました。キャッチャーとしては悔しい思いがあったと思います。

 悔しいですよ、それは。何でダメだったのかとすごく考えました。勉強不足というか、まだまだだったんだと痛感しました。でも、それで腐っていたら終わっていく世界。そこでどうやっていかないといけないか考えないといけないですし、行動に移していかないと。

──しかし今季は冒頭のように、野村投手、岡田投手とシーズン中にバッテリーを組むようになりました。

 僕は与えられた場面を必死にこなすだけです。いま、石原さんはジョンソンと組んでいますけど、もしも何かがあったときのために、ジョンソンにはどのような配球をしているかなど、準備だけは絶対にするようにしています。

──先日、道原裕幸寮長にお話しを聞きましたが、石原選手と会澤選手は練習で打球が体を直撃しても、絶対に泣き言を言わなかったそうですね。

 この世界は「痛い? じゃあ代わりはいるよ」という世界じゃないですか。少々の痛みなら耐えないと。キャッチャーは痛みに強くないとやっていけないポジションですし、我慢していかないといけないと思いますね。

──なかなか日の当たらないのがキャッチャーですが、やりがいはどこにあるのでしょうか。

 やっぱりチームの勝利。そこに向かってやらないと。負けたときは誰よりも悔しいと思いますし、チームの勝利こそやりがいです。一つも落としていい試合はありませんし、チーム一丸となってやっていきます。

(取材・構成=吉見淳司)

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