バトンが2度目のテストで入念な準備 スーパーGTへ「いいフィーリング」

吉田知弘

チームに溶け込み入念に準備

MOTUL MUGEN NSX−GTを操るバトン 【写真:吉田成信】

 初日のセッション終盤には予選を想定したタイムアタックも行い、そこでも上々のタイムをマーク。これには手塚監督も「まだ決めてはいないですが、予選アタックを担当してもらう可能性もなくはないです」とコメントするほど。それだけバトンの短時間での適応能力の高さがうかがえた。

 いきなりバトンがスーパーGTで予選タイムアタックを担当するシーンも見てみたいものだが、彼自身はチームのためにも“決勝レースをいかに安定して走るか”が重要だと考えていたという。それについて手塚監督はこのようなやり取りを披露してくれた。

「本人は予選よりは決勝が重要だと考えていて、とにかくロングランをやりたいと言っていました。特にタイヤのデグラデーション(消耗)をすごく気にしていましたね」

 バトンは、今回の「鈴鹿1000km」参戦にあたり、事前に動画や過去のリザルトなどもしっかりチェックしており、「スーパーGTを戦うためには何を経験しておく必要があり、自分に足りない要素は何なのか?」を分析して2回のテストに臨んできた。

 これも、1度きりではあるがスーパーGT参戦を真剣に考えている証拠だろう。そのため、前回できなかったGT300クラスとの混走を経験するために、スケジュールを調整して今回のテストに参加。さらに本番では決勝レースでの長丁場の戦いで役に立てるようにと、決勝を想定した走行や各データへの意識が高かった。

 本番までにわずか2回のテストしかなかったが、すでにチームに溶け込み、一緒になってマシンのレベルアップに務めているバトン。レースのための準備に一切の妥協を許さないところが、彼の強みの一つなのかもしれない。

 しかし、バトンは「本番に向けてやらなければいけないことはたくさんあるが、確実に改善はされてきているし、いい方向に向かっている。チームもとてもいい雰囲気。武藤選手と中嶋選手は多くの経験を持っているドライバーだから、彼らの走りやデータを見るだけでも勉強になることが多い。彼らとのタイムを比較しながら、もっとパフォーマンスを上げていきたいね」と語っており、課題と感じているものは多い様子。

 その課題を8月の本番ではどうクリアして、多くのファンの前でどんな走りを見せてくれるのか、今から非常に楽しみだ。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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