歴史に翻弄されたロシアの古都 コンフェデ杯都市探訪<サンクトペテルブルク篇>
「来年は絶対に、この国を再訪することにしよう」
コンフェデ杯は若きドイツの優勝で幕を閉じた 【写真:ロイター/アフロ】
多くの時間帯でゲームを支配していたのはチリだった。スタンドの観客も、ドイツに比べてチリのサポーターが圧倒的に多く、ほとんどホームに近い雰囲気を作り出していた。ほとんどの選手が代表キャップ数10前後で、こうした大舞台での経験に乏しく、しかも休みがチリより1日少ないドイツが劣勢に立たされるのは想定内。よってこの日のドイツは、両ワイドを下げて5バックとし、ほとんど5−4−1の陣形で奪ったら縦にカウンターという戦い方を徹底した。対するチリもまた、世界大会の初タイトルに向けてどこまでも貪欲な姿勢を貫く。結局、ドイツが逃げ切る形で初優勝を決めたが、歴代のコンフェデ杯決勝の中でも特筆すべき好勝負であり、大会の価値を高める素晴らしい内容だったと言えよう。
試合後、サンクトペテルブルクの夏空に花火が打ち上がる。来年は絶対に再訪しようと心に誓う 【宇都宮徹壱】
かくして、ロシアでのコンフェデ杯は閉幕した。思えば今年4月、サンクトペテルブルクの地下鉄で爆弾テロ事件が起こったこともあり、いささかの不安を抱えながらの今回のロシア取材であった。しかし久々にこの国を訪れてみると、意外とストレスなくフットボールの試合を楽しむことができることに気付かされた。英語が通じない、厳重な警備が面倒、飛行機がよく遅れるといったネガティブな面もないわけではない。それでもトータルで見れば、18年のロシアでのW杯は日本のサッカーファンにとっても、楽しめるビッグイベントになりそうだ。来年は絶対に、この国を再訪することにしよう。もちろん、われらが日本代表とともに。