清宮、徳山らがU-18日本代表候補に選出 スモールベースボールで世界一を狙う

松倉雄太

清宮は1年以来の日本代表なるか⁉

高校1年で選出されて以来の日本代表候補となった早稲田実・清宮。高校通算100本塁打超の長打力が世界でも通用するか!? 【Koji Watanabe - SAMURAI JAPAN】

 日本高校野球連盟(高野連)は16日、「第28回WBSC U−18ベースボールワールドカップ」(カナダ/9月1日〜11日)に参加する日本代表第1次候補選手30名を発表した。

 例年、日本代表の第1次候補選手は春の選抜大会終了後に出場メンバーの中から選んでいたが、今回初めて選抜後の春季大会にまで広げて選考した。内訳は今春選抜出場選手が22名、春季大会から選んだ選手が8名(甲子園未経験は5名)。1年生時に「第27回WBSC U‐18ワールドカップ」を経験した高校通算100本塁打超の清宮幸太郎内野手(早稲田実/3年)や選抜優勝の徳山壮磨投手(3年/大阪桐蔭)らが名を連ねた一方、日本代表の小枝守監督ら高野連の技術・振興委員が自らの目で見て選出した選手も含まれている。

 小枝監督は、第1次候補選手について、「第89回選抜高等学校野球大会や各春季大会を視察し、全体的に走攻守バランスの取れた選考をしていただいた。高校生の場合、短期間で急成長する選手も期待出来るため、引き続き、情報収集を行うなど万全を期したい。最終的には、全国の高校球児の範となり、高校日本代表として相応しい20名の選考が出来るよう努める。日本は2大会連続準優勝という結果に終わっているので、これまで代表チームに携わった関係者皆様の悔しい思いも胸に、スタッフ・選手全員がチームJAPANとして結束し、悲願の世界一を目指します」(原文ママ)とコメントを発表した。

 高野連の竹中雅彦事務局長も候補選手発表後に報道陣の取材に応じ、「小枝監督からは、日本の特徴でもあるスモールベースボールを目指したいので、守備のうまい走力のある選手を選んでいただきたいと話がありました」と説明した。

複数ポジションをこなせることも重視

左腕から140キロの速球を誇る日大三・櫻井。外野手としても強打が光るなど複数ポジションを兼ねられることが今回の代表候補選出につながった 【写真は共同】

 センバツにも出場した鯨井祥敬内野手(東海大市原望洋/3年)や小園海斗内野手(報徳学園/2年)、藤原恭大外野手(2年/大阪桐蔭)らは守備や足を買っての抜てき。さらに10日間で最大9試合ある試合日程を考え、丸山和郁投手(前橋育英/3年)や櫻井周斗投手(日大三/3年)といった外野と兼任できる複数ポジション選手も1次候補に選んだ。一方で、「国際大会は木のバットなので、金属バットのように打てない可能性が高い。適応力の高い選手」(竹中事務局長)と、スラッガータイプの選手は少なめにした印象を受ける。

 春夏の甲子園に一度も出場していない選手は5名いる。平元銀次郎投手(広陵/3年)と中村奨成捕手(広陵/3年)は、「小枝監督が春の広島大会を視察した」(竹中事務局長)と春先から評判の高かったバッテリー。平元投手は180センチ73キロの恵まれた体格から最速146キロの直球を投げる左腕として注目を浴びる。中村捕手は二塁送球1.9秒の強肩に加え、50メートル走が6.1秒の俊足が光る。

 久保田蒼布投手(藤枝明誠/3年)は右のスリークオーターから内外に緩急を使って投げ分けるタイプ。昨秋の東海大会では1勝を挙げ、準々決勝では中京大中京を相手に善戦したピッチングが買われた。鵜飼航丞内野手(中京大中京/3年)は6月3日に行われた招待試合の早稲田実戦で高校通算53号本塁打を放った4番打者。伊藤康祐外野手(中京大中京/3年)も内野、外野とどこでも守れるユーティリティープレイヤーとして評価が高い。

16日発表の30名以外にもチャンス

高校2年で代表候補に名を連ねた大阪桐蔭・藤原。今春のセンバツ決勝で2本塁打を放つなど、全国制覇に貢献した 【写真は共同】

 U−18日本代表の今後の流れとしては、これから開幕する夏の高校野球地方大会と夏の甲子園に出場する選手も選考の対象として、8月の甲子園決勝後に代表20名を選出する。竹中事務局長は、「今日の第1次候補の30名以外にもそれに能力が近い選手もリストアップしている。その選手も引き続き見ていきます。短期間で急成長する選手も期待できるという小枝監督のコメントにあるように、夏の大会から選出する可能性もある」と話す。

 さらに、「第1次候補の30名は日本代表に選ばれる可能性があるというモチベーションをもって頑張ってほしい。また、第1次候補に選ばれなかった選手も、逆転して代表に入ってやるという強い気持ちをもって夏の大会に臨んでほしい」とエールを送った。

 小枝監督ら首脳陣は最強のU−18日本代表作りへ向けて、夏の大会にも足を運び、選考を続けていく。全ては悲願の世界一を目指して――。
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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