「まだ完成形ではない」13歳が世界に衝撃 張本智和、世界卓球ベスト8は通過点

月刊『卓球王国』

倉嶋監督「世界王者にするのが使命」

異例の代表抜てきを決めた倉嶋監督(左)には、張本に懸ける特別な思いがある 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 一見すると、13歳の少年に対する要求としては、ハードルが高いようにも映るが、そこには張本を強化本部推薦により史上最年少で代表に抜てきした倉嶋監督の思いがある。

 吉村真晴(名古屋ダイハツ)、大島祐哉(木下グループ)ら実績のある世界ランキング上位選手を差し置いての代表選出には、記者会見で驚きの声が上がった。かねてから張本に対する期待を口にしていた倉嶋監督は、選出理由をこう語っている。

「日本の卓球界として、張本を世界チャンピオンにしなければいけないという思いは常に変わらない。これくらいの年齢から世界選手権を経験させ、さらに飛躍させたい」

「世界王者にするのが使命」とまで語る倉嶋監督にとっては、ベスト8はまだ通過点。それだけの可能性を張本に感じている。

中学2年の怪童は“日本の未来そのもの”

水谷(左)の後をたどるように現れた張本は、果たしてどんな未来を見せてくれるだろうか 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 倉嶋監督が語るように、張本の完成形はまだ先にある。中学2年生で身長は170センチを超えているとはいえ、他の選手と比べても線の細さは歴然。現在はテクニックと前陣でのスピードで勝負しているが、パワーがついてくれば、プレー領域も戦い方にも幅が出てくる。試合運びにしても、これからさらに多くの国際試合を経験して、よりクレバーにしていけば良い。張本本人が憧れと語る樊振東(中国)のようなテクニックとパワー、速さすべてを備えたスタイルが怪童の完成形なのかもしれないし、それを超えていく可能性だって秘めている。

 かつて、初出場の世界選手権で大金星をあげ、「日本の未来そのもの」と評された水谷は、リオデジャネイロ五輪で日本に初のシングルスメダルをもたらし、歴史を変えた。その水谷の後をたどるように現れた張本も、「日本の未来そのもの」だと言える。規格外の少年が、この先どんな道を切り開いていくのか。まだまだ張本のサクセスストーリーは序章を迎えたばかりだ。

(文:浅野敬純/卓球王国)

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