51年ぶり立大、全国に強い東洋大が出場 全日本大学野球選手権見どころ

松倉雄太

51年ぶり5回目の出場となった立教大。2回戦からの出場となる 【写真は共同】

 第66回全日本大学野球選手権大会が5日に開幕する。昨年に続き今年も26連盟から27校(九州地区大学野球連盟は北部と南部の2校)が出場。神宮球場と東京ドームで熱戦が繰り広げられる。開幕を前に大会の見どころを探っていきたい。

上武大が4強の壁を破れるか!?

 シードは前年ベスト4の連盟と、それを除く過去10年の優勝回数が多い1連盟の、合わせて5校で2回戦からの登場となる。
・昨年ベスト4の連盟の代表校
岐阜経済大(東海地区大学野球連盟)
国際武道大(千葉県大学野球連盟)
和歌山大(近畿学生野球連盟)
上武大(関甲新学生野球連盟)
・過去10年の優勝回数が多い1連盟の代表校
立教大(東京六大学野球連盟)

 シードの中で岐阜経済大と和歌山大は初出場。昨年に続き出場を果たしたのは上武大だけで、連続出場がいかに難しいかがわかる。その上武大はリーグ戦10勝1敗で6季連続優勝を果たした。打率4割3分8厘で首位打者、最高殊勲選手、最高出塁率、ベストナインの四冠を獲得した小豆澤誠遊撃手(4年・飛龍)を中心に、島田海吏外野手(4年・九州学院)、吉田高彰捕手(3年・智弁学園)、寺沢星耶投手(3年・佐久長聖)と3人の大学日本代表候補を擁する。さらに宮川哲投手(4年・東海大山形)が防御率0.65で3勝、西村雅暉投手(2年・熊本国府)も防御率1.50で3勝と、山下仁投手(JR西日本)が抜けた穴はしっかりと埋まった。全国大会は4季連続でベスト4の壁に阻まれている。今度こそ、その壁を破って4年ぶりの日本一を目指す。

 51年ぶり5回目の出場となる立教大はリーグ戦9勝4敗2分。全15試合中10試合に登板した田中誠也投手(2年・大阪桐蔭)が大黒柱で3勝を挙げてベストナインに輝いた。打線では打率3割4分8厘を記録した笠松悠哉三塁手(4年・大阪桐蔭)が満票でベストナインを獲得。主将の熊谷敬宥遊撃手(4年・仙台育英)は大学日本代表候補に選ばれている。

東都代表の東洋大はノーシード

今回はノーシードの東洋大だが、過去10年で3度の全国優勝を経験している 【写真は共同】

 14年ぶりにノーシードとなった東都大学野球連盟の代表は東洋大。過去10年で3度の優勝と選手権での強さが光る。リーグ戦は8勝2敗で、全カードが2試合で終わった。エース兼主将の飯田晴海投手(4年・常総学院)が4勝1敗で、最高殊勲選手と最優秀投手を獲得。昨春のセンバツを制した村上頌樹投手(1年・智弁学園)も2勝を挙げて新人賞に輝いた。打線は佐藤都志也一塁手(2年・聖光学院)と古田塁外野手(4年・天理)が打率4割台。中川圭太二塁手(3年・PL学園)、田中将也三塁手(4年・帝京)と合わせ、計5人がベストナインを受賞している。

 東北福祉大(仙台六大学野球連盟)は山野太一投手(1年・高川学園)が4勝を挙げ優秀新人賞を受賞した。特に負ければ優勝を逃す仙台大との2回戦で12三振を奪い4安打完封。昨夏の甲子園で履正社の寺島成輝投手(東京ヤクルト)と投げ合った左腕が大学で順調な成長を見せている。津森宥紀投手(2年・和歌山東)、楠本泰史外野手(4年・花咲徳栄)と大学日本代表候補2選手も擁し、昨年のベスト8以上の成績を目指す。

近大vs.岡山商大は屈指の好カード

1回戦屈指の好カードとなった近畿大vs.岡山商科大。リーグ戦三冠の近畿大・岡田と150キロ右腕・近藤の投げ合いなるか!? 【写真は共同】

 1回戦屈指の好カードがドラフト候補を抱える近畿大(関西学生野球連盟)vs.岡山商科大(中国地区大学野球連盟)。近畿大の左腕・岡田和馬投手(4年・南陽工)はリーグ戦で4勝0敗。防御率0.26で最優秀選手、最優秀投手、ベストナインの三冠に輝いた。シーズン前の不調で主に各カード2戦目の先発だっただけに、田中秀昌監督が初戦の先発に持ってくるかどうかの判断に注目が集まる。対する岡山商科大は152キロ右腕・近藤弘樹投手(4年・安佐北)が大黒柱。今季は7勝1敗で、徳山大戦では7回参考記録ながら完全試合を達成した。プロ各球団がリストアップしている右腕が初の全国大会でどんなピッチングをするか?

 11年ぶりの11回目の出場となる東海大九州キャンパス(九州地区大学野球連盟南部)は熊本地震の影響で昨春はリーグ戦を辞退。地震の影響で南阿蘇村の寮の取り壊しが決まり、阿蘇キャンパス内のグラウンドを使用できるメドは立たない。そんな中で掴んだ全国キップ。特別な思いで天理大(阪神大学野球連盟)との1回戦に臨む。
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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