ピエース・ガスリー、日本で着実に進化中 スーパーフォーミュラからF1を狙う逸材

吉田知弘

レース2でようやくポイント獲得

第2戦終了時点でまだ1ポイントにとどまるガスリーだが着実に適応しつつある 【写真:吉田成信】

 翌日に行われたレース2。午前の予選では赤旗中断があるなど、混乱も見られたが、前日の予選で学んだコース上での混雑やタイヤのウォームアップなどを対策し、見事5番グリッドを獲得。スタートが決まれば、表彰台のチャンスもある場所につけた。

 注目の決勝レース。狙い通りに好スタートを決め、前のマシンを抜きにかかるが1コーナーまでにガスリーを含め4台が横並びになる展開。一番端にいたこともあって行き場を失い芝生エリアにはみ出してしまう。これで失速を余儀なくされ6番手に後退した。

「スタートは良かったけど、1コーナーまでにたくさんのクルマがいて、芝生を走ることになってしまった。それで伊沢(拓也)選手に抜かれてポジションを落としてしまった。あれがなければ2、3番手に上がれていた可能性もあったので、残念だったよ」と語る。

 その後は、このレースで義務となっているタイヤ交換を1周目に消化させ、前方がクリアなところでペースを上げていく作戦。前日同様に好ペースで周回を重ね、ベストラップも全体6番手となる1分16秒191。しかし、最終的にピット戦略でライバルの先行を許し、ポジションを2つ下げた7番手でフィニッシュとなった。

悔しさ見せたが第3戦に期待

 まずは最低限の目標であるポイント獲得は果たしたものの、レース後のガスリーには笑顔はなく、まだまだ改善が必要と厳しいコメントを残した。

「確かに鈴鹿から比べると良くなった部分はあるけど、まだ改善が必要。ホンダ勢の中で最上位ではあるけど、トヨタの方が少し有利な感じがした。山下(健太)選手と接近して走っていてもバックストレートで(向こうの方が)速いなという印象だった。その辺はしっかりと改善しなければいけないね」

「今日に関しては予選は良かったけど、決勝でリアのグリップが足りなくて、レースは苦労することが多かったから、しっかりデータを見直して次に向けて良くしていきたい」

 開幕前から常々、トップに立つこと、勝つことにこだわっているガスリー。間違いなく鈴鹿よりは進歩したものの、悔しいことには変わりない様子。次回の第3戦富士は7月8、9日の開催で、1カ月以上のインターバルがあるが、すぐにでも第3戦のレースに臨みたいと言う。

「今日みたいに良くなかったレースの後は、明日にでも富士でレースをしたい気分だよ。ただ時間もあるからチームとしっかりミーティングをして、第3戦に備えたい。次回も早めに日本に来てエンジニアと話し合うつもりだよ」

 昨年のバンドーンは開幕戦でいきなり表彰台を獲得する活躍を見せていただけに、それと比べると苦戦していると言わざるを得ないのだが、特に第2戦では限られた走行機会の中で走りを修正し、スーパーフォーミュラに合わせ込んだレース運びを習得していた。

 あとは、GP2時代から変わらない勝利に対するハングリー精神がうまく組み合わされば、第3戦富士ではライバルも驚くような結果を披露しそうだ。その可能性が十分に秘めていることがわかった序盤2戦だった。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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