ディープ超えた春盾、武豊「本当に強い」 異次元キタサンブラックにサトノ陣営白旗
ルメールお手上げ「キタサンが強かった」
早め先頭から影も踏ませぬ推し切り勝ち、驚愕のレコードタイムと合わせてまさに異次元の競馬だった 【スポーツナビ】
バテたヤマカツライデンを早々にパスし、4コーナーから直線入り口手前では堂々の先頭。早過ぎる仕掛けとも思ったが、これは“来るなら来い! それでも俺たちは勝つ”という、武豊の絶対的な自信に裏打ちされた他馬への挑戦状。もちろん、このまま指をくわえてばかりいられない後続勢は一斉に襲い掛かるが、これほど息つくヒマもないペースの中で、体力を削られていったのはむしろ中団から末脚にかけていたグループだったのだろう。キタサンブラックは影も踏ませず、これをすべて返り討ちにしてみせたのだった。
「本当に強い」武豊も舌を巻くレースだった 【スポーツナビ】
超ハイペースを2番手から押し切った内容に加えて、このレコードタイムはまさに異次元。完勝、というひと言では到底片付けられないほど、キタサンブラックが恐るべき強さを見せ付けたレースだった。武豊が「本当に強い」と、言葉に力を込めたのも頷ける。
「相手が強すぎた」サトノダイヤモンド陣営もこの日ばかりは白旗を上げるしかなかった 【スポーツナビ】
凱旋門賞へまた前進も、まずは宝塚記念
歓喜のガッツポーズ! 北島三郎オーナー(中)は「フランス語を勉強しようと思います」、左は清水久詞調教師 【スポーツナビ】
「本当は、自分の可愛い“息子”を遠くの知らない空の下へ連れて行くのはつらいんです。でも、武さんが乗ってくれるなら、そして皆さんが応援してくれるのなら、フランスへ行ってみるのもいいんじゃないかなと思っています」
だから今日からフランス語を勉強しようかな、と冗談も交えながらさらに一歩踏み込んだ凱旋門賞挑戦への可能性を明らかにしたサブちゃんだったが、その一方で「夏までの状態を見て、良い状態だったら」とも付け加えているように、まだ正式決定ではない。清水調教師も、次の目標は宝塚記念であり、凱旋門賞は秋シーズンの数ある選択肢の1つ、と述べるにとどめている。そこは武豊も思いは同じだった。
「当初の予定通り、夏が終わってから秋のことを考えるのかなと思います。まだまだ色々な選択肢があると思いますし、その中の1つにフランスがあるんだと思っています」
凱旋門賞へ期待が高まるキタサンブラック、だがその前に宝塚記念を目標に 【スポーツナビ】
サトノダイヤモンドへのリベンジを果たした今、次なる目標は昨年3着に敗れた宝塚記念の借りを返すこと。名実ともに文句なしの現役最強馬がさらに勲章を加えていざフランスへ――そんなシーンを2カ月後の阪神で期待したい。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)