世界に衝撃を与えた17歳・平野美宇 「打倒中国」を実現しアジア初制覇
フロックではない中国人選手からの3連勝
平野は丁寧撃破に留まらず、世界2位の朱雨玲、同5位の陳夢も立て続けに破ってみせた 【写真は共同】
しかし、ワールドカップは中国人選手が欠場したため、中国人との直接対決を制しての国際大会優勝はこのアジア選手権が初めて。本人も「中国人に3回勝つのはまぐれではできない。そこは自信になった」と話すように大きな価値のあるタイトルとなった。
また、この結果を日本で見届けた母・真理子さんも、3歳半から小学校卒業まで卓球を指導してきたわが子の活躍に、「(美宇は)確かに力をつけてきてはいるが、丁寧選手に通じるかどうかというのが正直なところだった。勝てて本当にうれしそうだった。20年東京五輪までに中国を倒すのを目標にしていたが、ここで実現するとは思わなかった」と驚きと喜びの声を上げている。
金メダル狙う世界卓球 使用球は今大会と同一
そんな中国人選手の持ち味に影響を及ぼした可能性があるのが、アジア選手権で使用された日本の卓球メーカー「ニッタク」のボールだ。ニッタクのボールは材質が硬く、ラケットからの球離れが早いため回転がかかりにくいという特徴がある。そのため打球の回転量で相手のミスを誘い攻撃を封じる、中国人選手本来のプレーが発揮しにくかったという見方があるのだ。
ちなみに中国の超級リーグや日本も参戦しているITTFワールドツアーでは、中国の卓球メーカー「紅双喜」のボールが使われているが、ニッタクのボールに比べ材質が柔らかく回転がかかりやすいため中国人好みだといわれている。
そうした意味では、来月ドイツのデュッセルドルフで開かれる世界卓球(5月29〜6月5日)の使用球もニッタクに決まっており、対中国を考えれば好材料と言えるかもしれない。
アジア選手権で優勝した平野は今後、中国だけでなく諸外国からもマークされ、研究されることが予想される。しかし伸び盛りの17歳には、それを上回るさらなる成長もまた期待できる。世界卓球では優勝候補としてシングルス、そして日本のエース・石川と新ペアを組むダブルスで、金色のメダルを虎視眈々(たんたん)と狙う。