ファンディーナが挑む大胆で緻密な春二冠 目指す69年ぶり牝馬V、そしてダービーへ

netkeiba.com

ファンディーナの強さに迫る

 圧倒的なパフォーマンスで3連勝をあげたファンディーナ(牝3、栗東・高野友和厩舎)が皐月賞に参戦する。世代トップクラスの牡馬が集う戦いで3歳牝馬は上位争いに加わることができるのか、そのレースぶりとともに注目を集める。走りの次元が違うのではないかとさえ思わせるファンディーナの強さに迫ってみると、3歳牝馬ならではの陣営の慎重さが見えてきた。(取材・文:大恵陽子)

9馬身差、1.3/4馬身差、5馬身差

フラワーCを5馬身差で完勝、圧倒的な強さにスタンドはどよめいた(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】

 浦河で生まれ育ったディープインパクト産駒の牝馬が皐月賞に挑む。馬主はクラブ法人ターファイトクラブ(馬主名義:有限会社ターフ・スポート)。北海道・日高地方の牧場から出資馬が提供されている。ファンディーナは名門・谷川牧場で生まれた。

 今年1月のデビュー戦9馬身差、2戦目つばき賞1.3/4馬身差、フラワーC5馬身差。

 精神的にも肉体的にも繊細だと言われる3歳のこの時期に、2着に圧倒的な差をつけて3連勝を遂げた。末脚が鋭いとか、テンのスピードが優れているとかではなく、走りのスピード自体が他の馬とは次元が違うのではないか、とすら思わせる圧勝ぶりだった。

 僅差よりも大差勝ちの方が必ずしも強いとは限らない。しかし派手な勝ち方をすれば、その分強さは印象に残る。皐月賞を勝てば、69年ぶりに牝馬の皐月賞馬が誕生することになる。

「潜在能力にすごいものを感じます」

 ファンディーナの強さとは、どこにあるのだろうか。高野友和調教師は言った。

「潜在能力にすごいものを感じます。牝馬なので馬体の成長はまだまだこれからで素質だけで3勝していますが、パンッとしてきたらどれだけすごくなるのかな、と楽しみです。レースでは穏やかに走ることができます。乗り手の言うことを聞くし、ポジションもどこでも大丈夫です」

 新馬戦は「ゲート練習では遅かったから、出遅れるかもしれない」という高野師の心配をよそにハナに立つと、ラストは流して勝利。2戦目は前半1000m64秒1のどスローを2番手に控えて折り合い、3戦目フラワーCは前走より前半が3秒速い流れで好位から4コーナーで抜け出し勝利した。

「フラワーCは前に馬がいなくて壁がない状況でしたが、それでも見た目より全然引っ掛かっていないんです」

 向正面入口ではやや口を割っているように見え、「半兄ナムラシングン(父ヴィクトワールピサ)に似ているのか?」と思わせたが、そうではなかった。

「お兄ちゃんと似ているのは馬体重くらいなもんで、顔も違えば性格も全然違いますね」

皐月賞当週、4月12日の栗東トレセンでの様子(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】

 レースだけでなく調教でも兄とは違う姿を見せている。

 高野厩舎は坂路2本乗りが多く、1本目は厩舎で一列に隊列を組んでゆったりと登坂し、2本目で調教VTRなどでよく見かけるいわゆる「追い切り」を行う。

 ファンディーナも例に漏れず、最終追い切りでは1本目は隊列の先頭でゆったりと駆け上がってきた。その横を追い切っていく馬もいたが、影響されることなく乗り手に従順な姿に映った。2本目は併せ馬で相手を先行させ、四肢を伸ばしたフォームで楽に追い抜き先着した。

「引っ掛かるとか無縁な馬ですが、そこを確認しながら先週・今週とやりました。前走後から順調で、幸い調教いらずの状況なんです」

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント