女王ソウルスターリングに記者◎ズラリ ルメールも自信「弱点ない」桜花賞座談会
アドマイヤを筆頭に 未対決組が牙を研ぐ
クイーンCを勝ったアドマイヤミヤビ(桃帽)が対抗馬筆頭の評価(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
中邑「やはり、その期待は未対決組でしょうね。中でもアドマイヤミヤビは、デビュー戦こそ2着と取りこぼしましたが、その後の3連勝は全く危なげがなく、着差以上の強さです。弥生賞勝ちのカデナに勝った2走前も優秀でしたが、前走の走破タイムや上がり3ハロンの数字は、ソウルスターリングと対峙できるだけのレベルだと思いますよ」
那谷「今回初めて乗るミルコだけど、一週前の追い切りに跨いだあとで“とっても好きなタイプの馬。ウッドチップなのにまるでポリトラックのような軽くて綺麗な走りをするし、凄く賢くてコントロールも利く”と絶賛していたんだ。なおも“跳びが大きくて加速に時間がかかるので、真ん中より外目の枠が欲しい”と言っていたんだけど、願い通りの7枠15番だからな。この時点で俺も◎に決めたよ。“オークス向き”との下馬評も多いけど、外回りのマイルならソウルスターリングを差し切るシーンも十分あると思うし、道悪への多少の不安には目をつぶって、ミルコの連覇に期待したいな」
広田「ともにデビューから前走まで手綱を取ってきたルメール騎手がソウルスターリングをチョイスしたという点は、当然一目置かなければならないんですが、アドマイヤミヤビ陣営は全く意に介してませんよ。那谷さんも話していた通り、デムーロ騎手も好感触を得ていましたし、瞬発力が削がれるような馬場にでもならない限り、十分太刀打ちできそうです」
加茂「そやかて、ミスエルテだって未対決組やし、デビューから2連勝した時は、同じフランケル産駒で“ソウルスターリングとどっちが強いか”と騒がれたことを、忘れたとは言わせませんわ。テンションや馬体重のことを考えたら、ぶっつけで挑むのもむしろプラスに働くんやないかな」
吉田「ミスエルテが評価を下げる理由となった前走の朝日杯は、牡馬が相手だったことより、よそ行きの競馬ちゅうか、忙しい競馬をさせたことで自慢のキレ味を発揮できなかったと思いますわ。イレ込みも確かに酷かったけど、勝ったファンタジーSの時だってけっこうイレ込んどったし…。そういう気性やさかい、加茂さんも言うてはるように久々はマイナスにならん思いますし、出たなりで脚が溜まれば、“どっちが強いか”いう競馬になるはずですわ」
那谷「陣営がぶっつけ使いを選択したのは、加茂ちゃんの推測通りで、帰厩当初こそ追ってからの反応も鈍かったけど、ひと追い毎に上昇カーブを描いて、デビュー戦やファンタジーS当時の迫力ある動きが戻っているよ。当日にイレ込んで惨敗の可能性も大いにあるとはいえ、ソウルスターリングやアドマイヤミヤビをまとめて負かすだけのポテンシャルを秘めていることは確かだろうな」
瀬古「過去を振り返れば、チューリップ賞組に対して旗色の悪いフィリーズレビュー組ですが、今年のカラクレナイは、相当な勝ちっぷりだったと思います。初距離がどうか、とも見られていますが、外回りの1600mなら、より持ち前の決め手が生きるはずですよ」
久光「フィリーズレビューは、レースレコードでの勝利で、歴史に名を残すラインクラフトやキョウエイマーチをも上回ったわけですからね。展開の助けがあればここでも上位に食い込める馬だと思いますよ」
細川「陣営も初めとなるマイルの距離は守備範囲と見ていますし、CWコースのボコボコの馬場でも気にせずに走っているほどですから、少々の道悪にも対応できるとのことでした」
勝負付けが済んだとは言わせない 逆転を狙う馬たちも
福田「デビュー戦が洋芝の札幌やったこともあってか、昆師は“速い時計の決着に対応できたのは大きい”言うてましたわ。“この中間は坂路2本追いで攻めを強化してきたし、カイバもよく食べていい体つきになっている。今回はワンマークで勝負を挑みます”とも。逆転があって、全然おかしないやろ」
須藤「チューリップ賞では、阪神ジュべナイルFでの差を広げられた形となったリスグラシューですが、ソウルスターリングとは仕上りの差もあったように思います。対して今回は、目一杯の仕上げに映りますし、その差が縮むどころか、逆転まであるのではないかと」
細川「陣営も、前走が本番を見据えた仕上げだったことを認めていますし、“同じ調整をしていても勝てないので、今回は攻めの調教をした”と、状態面での上積みをアピールしていました。前走が決定的な差という見方もあるでしょうが、勝ち負けになる可能性も十分ありますね」
久光「リスグラシューの前走については、そういった仕上げの差もあったかと思いますが、本番に向けて名手が脚を測ったように見えましたね。デビュー2戦目のレコード勝ちの強さはいまだに脳裏に焼き付いていますし、小柄な割りに叩いて変わるタイプ。馬券的にもココでこそと、狙いたくなる馬ですよ」
大江原「対ソウルスターリングで未知の存在としては、アエロリットも忘れちゃ困るぜ。ここ3戦で2着続きだけど、2走前は10キロの馬体増、前走も折り合いに進境を見せて勝ち馬に並ばれてからもうひと踏ん張りできたように、この相手でも上位を争うだけの力は備わってきたと思うぞ。体質が強化されたことにより、コースで追えるようになったのも心強いし、更に進化した走りに期待したいな」
小桧山「前走に関して菊沢師は“今までとは違う差す競馬ができたことで本番への手応えを感じた”と。テンションが上がりやすくて調整の難しかった馬だけど、今週の坂路でも“僚馬を追いかける形でもムキにならず、上手に追走できていた”と、成長ぶりをアピールしていたよ。雨で滑るような馬場はどうかだけど、適度に時計がかかってパワーを要す馬場なら、他の馬より有利かもしれないな。“大トビで、理想は外目をスムーズに”とも言っていたから、枠順もいいだろうし、ソウルスターリングの相手としては十分に買えるな」
福田「レーヌミノルかて、これだけ人気を落とすほど可能性もなくなってはおまへん。本田師も“前走のようなこと(大きく内に刺さった)もあるので、今回は中団やや前目のポジションで流れに乗せたい。直線で馬体を併せる形に持ち込んで、この馬の勝負根性に期待したいね”と、望みは捨ててまへんで」
那谷「あと、大穴ならということで名前を挙げておきたいのがジューヌエコールだな。“スパっとキレるタイプではないから、前走は見た目以上に不利が応えた”と、北村友騎手が悔しがっていたんだよ。“一度使ってガス抜きができたし、筋肉質でパワーがある”とも言っていたから、他馬が苦しむような道悪になれば出番があってもいいと思うな。それと、もう一頭、某ダービージョッキーから“ライジングリーズンは侮れない馬だよ”と、コッソリ耳打ちされたんだよ。アネモネSの勝ち馬は、実際に好走例もほとんどないから軽視していたんだけど、どうにも気になって…」
守屋「この時を待ってました、ようやく僕の出番ですね。ライジングリーズンのここ2戦は、中山マイルでは不利が定説の外枠でのもの。ともにペースが速かったのも味方しましたが、連勝は地力がないとできない芸当でしょう。加えて、前走のアネモネSは桜花賞を見据えての仕上げで、まだお釣りを残してのものだったので“上積みは間違いなく大きい。思い描いた通りの調整ができたし、本当にいい状態”と、奥村武師はデキに関して太鼓判を捺してました」
デスク「奥村武厩舎といえば、新興ながら関東の目下リーディング首位を走っている勢いもあるけど、師が助手時代に所属していた国枝厩舎は、栗東滞在が定番のパターンだよな」
守屋「アパパネなどもそのパターンでしたが、今回それをやらなかった理由については“レースまで10日はないと環境に馴染まないし、そうするとアネモネSを使ってすぐ行かないといけなかったから、レース後のケアを考えると厳しかった。それよりこっちでいつも通り調整して、1日前(土曜日)に出発したほうがいいだろうとの判断”とのことでした。
唯一敗れた昨年のアルテミスSでは、地下馬道やゲート裏でパニックになるほど暴れてしまい、レース前にかなり消耗してしまっての敗戦でしたからね。それを踏まえて、慣れない栗東トレセン→阪神競馬場への輸送より、美浦→阪神競馬場を選んだということ。このあたりは師の経験によるもので、初の長距離輸送でも問題はないと見ていいでしょう。また、雨や馬場状態については、“他が苦しむならこちらに分がある”とキッパリ。近2戦とは一転して、ようやく内の1枠2番をゲットできたのも、ロスなく回って、迷わずイン突きができる丸田騎手にとっても好材料で、2歳女王に迫る走りもできると思っています」
デスク「あとは、本紙田崎の目を取った△が目をひくショーウェイだな」
田崎「あくまでも前走で大きく減らした馬体が戻ることが前提条件なんですが、瞬発力が絵に描いた餅となるほど馬場が悪化した場合の残り目として△を打った次第です」
武井「僕も同じパターンで、そういう極悪馬場となった時の押さえとして、重馬場の千両賞で、後に重賞を勝つ馬に続いたカワキタエンカを挙げておきましょうか」
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