大阪杯Vに見た武豊キタサン王者の風格 感激サブちゃん「引退やめます!」

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北島オーナーが明言「来年も元気に走ってほしい」

この日、阪神競馬場には対前年比150%にもなる4万7千人のファンが駆けつけた 【スポーツナビ】

 この日、阪神競馬場に詰め掛けた観衆は対前年比150.9%の4万7336名。大阪杯の売得金はなんと対前年比222.1%の153億3266万6500円というのだから大盛況だったわけだが、キタサンブラックの馬券を買ったファンはもちろん大満足だろうし、たとえ僕のように馬券がカスリもしなくても、これだけの走りを年度代表馬に見せられては唸るしかない。

 そして、大阪杯を見ていた観衆の中で、キタサンブラックの走りに最も感動したのはそう、オーナーの北島三郎さんだ。

「もうね、本当に感動しました。お馬さんがさらに強くなりましたね。他の馬たちもいることだからあまり大きくは言えないんですが、1着に来てほしいなぁと思っていた通りになってくれて、本当に感動と感激です」

左から清水久調教師、北島オーナー、プレゼンターの土屋太鳳さん、武豊 【スポーツナビ】

 今では私自身よりも馬の方が人気が出ちゃったよ、と豪快に笑うサブちゃん。その語り口はまるで、実のわが子のことを話しているかのよう。そんな自慢の息子の頑張りに心打たれ、その姿に喜ぶファンの笑顔を見て、また、歌手として歩んだ自身の人生を重ね合わせたとき、思いもよらない言葉が飛び出した。

「自分も80歳を過ぎてもなお歌手の道を歩かなきゃいけない。キタサンブラックも皆さんの前で走る姿こそがカッコいいし、それがなくなったら私自身も寂しくなっちゃうよね。もう自分の馬じゃないみたいに感じていて、だったらファンの皆さんに喜んでもらえることをしなきゃなぁと。だから、引退をやめます! 元気な姿で来年も走ってほしい」

まずは天皇賞・春連覇へ、サトノダイヤモンドと再戦

まずは天皇賞・春連覇へ、そして秋は凱旋門賞挑戦が現実となるか 【スポーツナビ】

 キタサンブラックについては今年の1月、北島オーナー自ら2017年シーズンいっぱいでの引退を示唆していた。だが、これを完全撤回。GI勝利後の恒例となっていた『まつり』熱唱の封印の代わりに、ファンへ贈るプレゼントといったところだろうか。そして、この突然の宣言には、ざわついた報道陣以上に武豊も驚きを隠せなかった。それと同時に、キタサンブラックとともに目指す夢がますます広がった――そんな感情もより強く芽生えたのではないだろうか。武豊がキタサンブラックとともに描く“この先”について、こう語った。

「まずは1つ1つということになりますが、無事なら天皇賞・春の連覇を目指すことになると思います。サトノダイヤモンドとの再戦で盛り上がるでしょうし、そこでいいレースをしたいですね。そして、その先に大きな夢が広がっていけばうれしいと思います。また、オーナーの言葉を借りれば、来年は大阪杯の連覇を目指して……ということになるのかな(笑)。とにかく、僕にとってもこの大阪杯は大きな1戦になりました」

 順調ならば武豊が言うとおり、この後は連覇を目指す天皇賞・春、そしてリベンジに燃える宝塚記念が春のローテーション。その先には凱旋門賞挑戦という大きな夢が待っており、北島オーナーも「反対はしません」。キタサンブラックと武豊、北島オーナーが抱く夢はきっと世界へと――そう予感させる大阪杯の快勝、キタサンブラック2017年春の初戦だった。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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