アイホ男子「ここから北京へスタート」 5年後の五輪目指し、新たな船出

スポーツナビ

アイスホッケー男子日本代表は中国に14−0と快勝。アジア大会制覇へ好スタートを切った 【写真:築田純】

 札幌などで開催中の冬季アジア大会は22日、大会4日目を迎え、この日から男子アイスホッケーのトップディビジョンがスタート。世界ランキング21位の日本は初戦、同37位の中国に14ー0で快勝し、1月に就任したばかりの鈴木貴人監督に白星をプレゼントした。

 日本は開始3分30秒に西脇雅仁(日本製紙)の得点で先制すると、その後も鮮やかなパスワークから追加点を奪うなど中国を圧倒。シュート数でも59−9と寄せ付けず、2大会ぶりのアジア大会制覇へ好スタートを切った。

 試合後に鈴木監督は「アジアで一番ということを結果で証明したい。優勝が目標です」とコメント。11日まで韓国で行われていたユーロアイスホッケーチャレンジでは3戦全敗に終わり船出でつまずいた新生日本代表だったが、自国開催となるアジア大会では戴冠を目指し、24日の韓国戦、26日のカザフスタン戦に臨む。

世代交代を見据え若手が代表入り

五輪最終予選からは一部メンバーを入れ替え。23歳の古橋(黒)はこの試合で3得点と勝利に貢献した 【写真:築田純】

 昨年9月、平昌五輪への切符を逃した男子代表が次に大きな目標とするのは、2022年北京五輪への出場だ。前任のグレッグ・トムソン体制時代からコーチとして入閣していた鈴木監督が目指すホッケーは、トムソン時代のそれとは大きく変わらず、「ディフェンスファースト」「スピード」というキーワードを掲げている。

 違いが見えたのは代表メンバーだ。敗退した五輪最終予選から一部を入れ替え、23歳のFW古橋真来(栃木日光アイスバックス)、21歳・FW平野裕志朗(東北フリーブレイズ)ら若手が代表入り。この試合では古橋が3ゴール2アシスト、また平野は1ゴール1アシストを記録し監督へアピールした。

 注目はセンターの古橋で、スピードあふれるアグレッシブなプレーが信条のルーキーだ。この試合ではチーム有数のポイントゲッターである上野拓紀、古橋と同い年ながら一足先に代表入りしていた高木健太(ともに日本製紙クレインズ)とセットを組み、監督からの期待を感じさせた。また与えられた背番号「18」は、鈴木監督が現役時代に背負っていた番号。

「監督からのメッセージはあると思うので、期待に応えられるよう毎試合毎試合頑張るしかない」(古橋)

若手とベテランがもたらす相乗効果

若い力の台頭はベテラン勢にも刺激を与えている。4月に30歳となるエースの久慈もその影響を感じているようだ 【写真:築田純】

 若い力の台頭は、ベテラン勢にも刺激を与えている。今季アジアリーグで得点ランキングトップを走り、4月に30歳を迎えるエースの久慈修平(王子イーグルス)は、彼らがチームにもたらす影響についてこう語る。

「若いエネルギーというのはチームにとって大事なので、彼らが本来の能力を出してもらえるように、僕ら上の選手たちがしっかり引っ張っていきたいです。ただ彼らに頼っているようじゃ僕らがいる意味がないので、自分たちの役割を出していかないといけない。そういう意味では良い刺激をもらえていると思います」

 久慈のほかにも、GK福藤豊(34歳/栃木日光アイスバックス)、主将のFW田中豪(33歳/東北フリーブレイズ)とまだまだチームの柱はベテランが占めている。ただ北京五輪が行われる5年後を見据えれば、世代交代が避けられないことは確か。日本が24年ぶりの五輪出場を成せるかどうかは、今回代表入りした若手選手の肩に懸かっているとも言えるだろう。

 主将・田中は中国戦を終え、「新監督、新チームになって、ここから北京五輪へのスタート」と語った。どの競技よりも早く、5年後の北京五輪を目指し始めたアイスホッケー男子代表。その戦いはここ札幌から始まっている。

(取材・文:藤田大豪/スポーツナビ)
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