燕のタフネス右腕・秋吉は投げ続ける 侍でもヤクルトでも変わらぬ思考

週刊ベースボールONLINE

シーズンで「大事なのは出だし」

2017年シーズンではヤクルトを日本一に導くべく、獅子奮迅の働きを誓う 【写真=BBM】

 WBCが終わると、すぐにシーズンが開幕する。秋吉自身は孤軍奮闘したが、投手陣が崩壊して5位に沈んだ昨季。「大事なのは出だし」と秋吉は言う。下位からはい上がるために、そして2年ぶりに王座を奪還するために。プロ4年目の秋吉は、リーダーとして救援陣をリードしていく覚悟を持っている。

──昨季、ヤクルトでは2年連続70試合登板と、素晴らしい働きぶりを見せました。

 結果的には目標としていた70試合を果たせて良かったんですけど、開幕戦の巨人戦がちょっと……。

──0対1の7回、2番手として登場しましたが、小林(誠司)選手に2点タイムリー二塁打を浴びるなど、1死しか取れずに降板となってしまいました。

 3戦目なんて、一度は勝ち越したにもかかわらず、ギャレット選手に逆転2ランを浴びてしまいました。毎年毎年出だしが悪くて、調子が上がるまで時間が掛かるんです。今回はその時期にWBCがある。嫌な傾向ではあるんですけど、そこはしっかりやっていかないと。

──その最悪の状態から立て直しました。

 防御率54.00からのスタートでしたからね。この数字をどうやって下げていこうかと。ただ、そこから徐々に落としていって、4月26日の広島戦(神宮)でようやく2点台に入りました。そこから2点台をキープできたので良かったですね。8月3日の広島戦(神宮)で防御率2.06。もう少しで1点台だったんですけど、届きませんでした。

──70試合も投げているわけですから当然、連投もあるわけです。

 連投といっても、いいポジションで投げさせてもらっているわけですから。負けているときは「休んでて」と言ってもらえるし、勝っている試合では「今日は(登板が)あるな」と準備しますし。こちらとしては調整しやすいですね。だから連投といってもキツくもないし。投げても15球、少なければ7、8球とかですから。1年目は勝ち試合でも負け試合でも投げていましたけど、勝ちだけとなると(肩を)作りやすいんです。中継ぎの駒は何人もいますから、互いにカバーし合ってやっています。

ヤクルト再浮上のカギは投手陣

──今年の救援陣は顔ぶれが変わります。

 去年からいるルーキ、自分、松岡(健一)さん、新助っ人ではギルメット、新人では星(知弥)もいますから。星なんかはブルペンで見ていても力強い球を投げるんですよね。そういった新しいメンバーが救援陣に入ってきてくれれば、頼もしいですよ。2015年に優勝したときも後ろに4枚いましたし、先発投手が5回まで投げてくれればなんとかなるという展開が理想。後ろがしっかりしていれば先発もラクに投げられますから。

──5位に転落したヤクルトの再浮上は、投手陣にかかっていると。

 野手が打ってくれるので、あとは投手が頑張るだけ。チーム防御率はワーストでしたから、そこを改善すれば優勝も見えてくるはずです。

──通算登板数は200を超えていますが、まだプロ4年目を迎えるところです。

 4年目で侍ジャパンに選ばれるなんて思ってもいませんでした。社会人時代にはイメージできなかったことですし、こうしてずっと投げ続けていることは、本当にすごいことなんですよね。

──飛躍する契機は何だったのでしょうか?

 特にこれというもんはないですけど、やはり環境でしょうね。変化球にしてもスライダーならトモさん(伊藤智仁投手コーチ)、シンカーなら高津臣吾さん(2軍監督)と、教えてくれる人がいっぱいいるので。

──それでも“でんでん太鼓”とも呼ばれる独特なフォームは我流です。

 試行錯誤しながら研究した結果です。左手を使わないなんて、野球教室で小学生に教えられないですよね(苦笑)。でも独自のフォームですし、直そうとも思わない。投げ方なんて、人それぞれだと思いますから。自分で考えることが大事。人に聞くのも大事ですが、そればかりだと、シーズン中に調子を落としたら、どう直していいのかも分からなくなりますから。

──最後にWBC、そしてその先にあるシーズンに向けた意気込みをお願いします。

 世界一にならないといけないと思っています。アメリカで勝って、世界一になって帰ってくる。これが現時点での目標です。シーズンについては、昨季5位という悔しい結果に終わっていますから。チームでも中継ぎ、抑えのどちらをやるか分からないですけど、3年連続70試合登板が個人的な目標。また、2年前は優勝したけど日本一になれなかった悔しさもある。そこを目指したいです。

(取材・構成=富田庸 写真=荒川祐史、中島奈津子)

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