ハリル「違う戦略で臨もうと思っている」 W杯最終予選 サウジアラビア戦前日会見
サウジアラビアにカウンターアタックをさせないことが大事
先日はオマーンと試合をして何人かの選手を試した。もっとトライもしたかったが、われわれが知りたいことにトライしたわけだ。経験や自信はすぐに学べるわけではない。27〜28歳、それ以上の年齢であっても、この年代で代表にデビューしても自信や経験が足りないのがよく分かる。
つまり、ひとつのチームを形成するとき、以前の会見でも言ったが、この半年はかなり困難な時期だった。80パーセントが海外組、それが定期的に試合に出られない状態だった。海外組が向こうでしっかりと試合をしていれば、代表のパフォーマンスも上がる。8〜9人の海外組で試合に出ていない選手を変えることもできるが、ただ、私にはそれは不可能だと言いたい。それが可能であれば、「若い人たち」をプレーさせてみたい。そしてその「若い人たち」がより自信を持って「経験のある人たち」にプレッシャーをかけてほしい。そうすればもっと競争が生まれる。それは私次第ということではなく、選手次第でもある。若い選手次第でもあるし、国内の選手次第でもある。もちろん、海外組も含めてだ。
本当にこの時期は管理をするのが難しい時期だった。トレーニングをする中で、情報が入ってきた段階だ。今年最後の試合がやってくるが、ここまで選手たちはW杯に行きたいという強い気持ちを見せてきた。おそらく何人かの選手には最後の最終予選となるだろう。そして成功でA代表を終えたいと思っているはずだ。
明日は重要な試合、最終予選突破につながる試合になるだろう。私が求めるのは、強い気持ちで勝利をつかみにいくぞということ。彼ら(サウジアラビア)にも自信があるし、相手が簡単に勝利を与えてくれることはない。ラッキーなシチュエーションがかなりあったが、オマーンのテストとはまた違ったテストがやってくる。苦痛を伴う、成長するためのテストだ。
――アウェーのオーストラリア戦では引いて戦って勝ち点1を取った。明日は主導権を握った戦い方をするのか? それともオーストラリア戦のような戦い方をするのか?
毎試合、特別な準備がある。1つの試合に向けて準備するときに、まずは現状でどんな長所があるのかを知らなければならない。おそらくサポーターを含め、フットボールを知っている人は、プレスをかけにいって得点を取りたいと思うだろう。オフェンスをもっとやれという人もいる。
オーストラリア戦は本当に特別な試合だった。われわれのグループが今どんな状態なのか。何人かの選手がどんな状態なのか分かっていた。本当に慎重なタクティクスを選んだのだ。ただ、慎重だといっても勝たないというわけではない。勝つために、慎重に選んだのだ。勝つためにはいろいろな戦略がある。今回のサウジアラビア戦に向けては違う戦略で臨もうと思っている。「おそらく違う戦略になるのではないかな」という感じだ。
われわれのホームだし、攻撃して得点を取りたい。だが相手の罠に引っかかってはいけない。3〜4人、個人のカウンターアタックが速い選手がいるので、しっかりと攻撃をしてオーガナイズを崩さずに、サウジアラビアにカウンターアタックをさせないことが大事だと思う。
オマーン戦で皆さんも見たと思うが、FKも少し変えた。それがうまくいったかどうかは分からないが、そこから修正もしている。私のやりたいことが、いつもうまくいくわけではない。戦略を練るには何日も何時間も掛かるのだが、われわれにはそれだけの時間がない。正確に戦略を練っているつもりだ。残念ながら皆さんにそれを教えることはできないが、違う戦略で臨もうという感じだ。
ベルト・ファン・マルバイク監督&オサマ・ハウサウィ主将会見
会見に臨んだサウジアラビア代表のファン・マルバイク監督(右)とハウサウィ主将 【スポーツナビ】
ハウサウィ アラーの名において、われわれはしっかり準備をしてきたので自信がある。もちろん日本が強いのも知っているし、監督も日本の実力を熟知している。明日はいい試合になると思うので、とてもエキサイティングな気分だ。
──明日の試合は勝ち点3を取りにいくのか、それとも引き分けで十分か?
ファン・マルバイク いずれの試合も常に勝つことを目的にしている。それはホームゲームであれ、アウェーゲームであれ同様だ。日本がクオリティーの高いチームであることは分かっているが、同様に日本もわれわれのクオリティーの高さを認識していると思う。
──(非公開の)練習が外から見えていたことについてどう思うか? また明日はスピーディーな試合展開を予想しているか?(サウジアラビア記者)
ファン・マルバイク 2つ目の質問だが、どこでプレーしても、われわれのスタイルは変わらない。われわれのやり方があるので、一番いいやり方を編み出すようにしている。それと練習場が見えていたのは分かっていた。見たければ、見ればいい話だ。
──サウジアラビアが強くなったことで、このように非常に多くのジャーナリストが来ている。プレッシャーに感じることはあるか?(サウジアラビア記者)
ハウサウィ 日本でも注目されて熱気を感じているし、ホテルにまで押し掛けてくる日本人もいる。こうした現象は、プレッシャーというよりも、むしろうれしく思っている。われわれはこれまでにも大きなゲームを何度も経験しているし、日本に対するリスペクトもある。同様に、日本もわれわれのことをリスペクトしていると思っている。
──9月の予選ではPKから3得点、10月には5得点で、よい流れの中から攻撃できていると思うが、チームの成長についてどう考えているか?
ファン・マルバイク 9月に3得点、10月に5得点、11月にも素敵な数字が出てくるのは良いことだが、実はわれわれが考えているのはシンプルなことだ。できることをすべてやる、そしてあらゆることをベターにするということ。すべてにおいて改善していくということだ。
今、チームは良い状態にあると思うが、今日が良いからといって明日も良いという保障はまったくない。われわれとしては、常に努力するしかない。そして勝ち負けにかかわらず、常に最善を尽くしていくしかない。チームとしては自信があるし、いい選手もそろっている。だが、それ以上に重要なのは、チームとしていい状態にあることだ。先程の質問にもあったが、プレッシャーというものは、選手にとっても監督にとっても良いことだ。今、プレッシャーを感じているのは日本も同様だろう。
※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。