「イキナリ走れる」アルバートに本紙は◎ 大混戦アルゼンチン共和国杯の記者座談会
競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会
実績馬アルバート&シュヴァルグランに 新鋭モンドインテロが迫る
春の天皇賞以来となるアルバート(右)だが仕上りは良好(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
武井「中でも、アルバートでしょう。昨年暮れのステイヤーズSで5馬身差の圧勝を演じたあとは不完全燃焼の競馬が続いていますが、春の天皇賞なども、内々の窮屈な競馬を強いられたものです。ただ、直線でバラけてからの脚は一線級でも通用することを改めて示したと言えますし、器用さに欠ける分、東京へのコース替わりは歓迎材料でしょう。休み明けは苦にしませんし、最終追いの上々の動きからも、信頼していいですよ」
久光「ステイヤーズS以降が物足りないと見ることもできますが、いずれのレースもスローな展開で後手に回ってましたからね。もともとが、キレ味よりも持久力、というスタミナ型ですし、ヨーイドンの瞬発力勝負では成す術がなくて当然です。直線の坂を2度越える東京2500mは、この馬にとっても申し分のない舞台ですし、ここで復活の狼煙(のろし)を上げると思いますよ」
守屋「アルバートについては、半年ぶりとなる点も鍵になりますが、未勝利勝ちが4カ月ぶりで、2勝目も5カ月ぶり、昨年は500万下とはいえ今回と同様の約半年ぶりで2着しているように、久々は全く問題のない馬ですからね。ここまで坂路とチップを併用して乗り込み、最終追いでも軽く促しただけで先行した僚馬を追い抜いたように、仕上り自体も抜群ですよね、小島さん」
小島「この中間は骨膜炎で放牧に出されてましたが、もう脚元の心配はないようで、ビッシリと追われてきた調教過程からも態勢は整っていると見ていいでしょう。“いきなり勝ち負け”と厩舎サイドも自信を見せていましたし、取材の感触は実に良かったです。まぁ、先週のモーリスに◎を打たなかった僕が言うのもナンですが……」
小野智「戸崎圭騎手は、昨年の1000万勝ち以来の騎乗となりますが“その後の成長はレースを見ていても分かります。久々でもキッチリ仕上っているようですし、十分にチャンスはありますね”と、上々のコメントでした。ただ、私がそれ以上と考えているのはシュヴァルグランで、春の天皇賞3着を素直に評価したいですね。この馬も久々は苦にしない気性です」
清野「私もGIIのこのメンバーならシュヴァルグランが頭ひとつ抜けていると思います。58キロのトップハンデも、他との比較ではそれほど酷量とは言えませんし、そこは陣営も不安視してませんよね。2400m以上の距離では天皇賞以外はすべて連対、ハーツクライ産駒ならまだまだこれからの馬、と信頼できる材料もてんこ盛りです」
広田「当初は京都大賞典から始動の予定だったんですが、春の疲れがなかなか抜け切らずにここまで出走が延びた形です。ただ、逆に慎重に仕上げられたことで、陣営も“過去の休み明けよりもいい状態で臨めそう”とのことでした。初コース、そして初の左回りになる点も、陣営に心配している様子はありませんでしたね」
デスク「ただ、重賞こそ未勝利だが、差のない人気となりそうなのがモンドインテロだよな」
大江原「前走はオープン特別で相手に恵まれたことは確かだけど、自分で勝ちに動いて結果的に力で捩じ伏せる強い競馬で、地力強化を証明する内容だったよな。無理のないローテーションで大事に育てられてきた馬が、4歳秋を迎えていよいよ本格化の兆し、とあれば、この相手でも間違いなく勝負になると思うし、厩舎サイドも“デビュー以来、最高のパフォーマンスを見せられそう”と、色気十分だったぞ」
佐藤直「昨年のゴールドアクターのみならず、スクリーンヒーローやトーセンジョーダンが、ここを勝ったあとでGIホースになったように、近年は出世レースの意味合いも強いんだよ。それらの馬たちと同じように、ここは4歳馬の出番だと思うし、昨年あたりと比べても少し低レベルのここは、モンドインテロの素質を買う手だな」
久光「ただ、重賞未勝利の身でモンドインテロの56.5キロというのは、少しハンデを貰い過ぎの感を受けますが……」