Bリーグ開幕で現場に変化はあるのか!? 3人の名将に問う日本バスケの未来 前編

カワサキマサシ

bjリーグ初年度からHCを務めてきた関西の名将たちに、Bリーグの未来を問うた 【素材提供:(C)B.LEAGUE】

 関西のBリーグチームで今、bjリーグ初年度からヘッドコーチ(HC)を務め、実績を残してきた3人の名将が指揮を執っている。大阪エヴェッサ・桶谷大HC、西宮ストークス・天日兼作コーチはともにbjリーグを連覇した経験があり、京都ハンナリーズ・浜口炎HCはチームを4度もファイナルズの舞台に導き、2014−15シーズンには歴代最多勝も挙げている。

 Bリーグ開幕で日本バスケットボールが新時代に突入した今、3人の名将たちはこのBリーグ、そして日本バスケの未来をどう見ているのか。今回は3者に同じ質問を投げ掛けて、それぞれの考えを問うた。

日本人のレベルは「上がっている」で一致

 まず聞いたのは、「bjリーグの開幕当初と比較して、旧NBL勢も含めて日本人選手のレベルは上がっているか」。これには全員の答えが、「上がっている」で一致した。

桶谷HC「bjリーグのトップでやってきた選手は、NBLの選手に比べてサイズは小さいですが、スキルやバスケットIQは上がったんじゃないかと思っています。bjリーグができて底辺が広がり、多くの選手にチャンスが与えられましたが、プロでギリギリできるレベルかなという選手もいました。でもbjリーグができたことでプレーできて、レベルを上げていった選手も少なからずいると思います」

浜口HC「NBLはちょっと分からないですが、bjリーグの当初と比べれば日本人のレベルは上がってきたと思います。その理由は単純で、bjリーグができたころに実業団ではなく、プロの世界に入った選手たちが、1日中練習ができる環境の中で上達していった。そういうプレーヤーが、11年を経てベテランになった。ということを考えると、単純にレベルは上がっているという考え方です。個々の技術面でも11年間練習してきた蓄積の分、レベルアップしていると思います」

 天日コーチはbjリーグの当初に外国人の出場に制限がなかったことも、日本人のレベルアップに寄与したと言う。

天日コーチ「今のルールがどうというわけではないんですが、外国人が2人とか1人となると、日本人の小さな選手は日本人にしかマッチアップしない。bjリーグのときはマイケル・ガーデナーやナイル・マーリー、マット・ロティックら190センチ台前半くらいまでの外国人としては小さい選手がいて、彼らに日下(光、現京都。174センチ)選手らがついたりする。僕はそういう状況も、良かったなと思います。チーム内にも外国人が多く、練習から今まで経験したことのない大きな選手や速い選手とプレーできたのが、bjリーグのシチュエーションで良かったところですね」

リーグ全体の競技力は劇的に変化せず

Bリーグが開幕したからといって、選手の競技力が劇的に変化するわけではない 【石田祥平】

 Bリーグは開幕から1カ月あまりが過ぎた。旧NBL勢と旧bjリーグ勢が入り交じって戦う中で、リーグ全体の競技力の現状は3人の目にこう映っている。

桶谷HC「Bリーグになったからといって、すぐにレベルが上がるというものではないと思います。重要だったのはリーグを統一して、bjリーグとNBLの選手たちが同じ土俵で戦うこと。それがスタートラインだったと思う。これから戦っていくうちに、bjリーグの選手はNBLの選手に慣れていくのかなと思います。慣れなければコートに立てないだろうし、慣れさえすれば通用するプレーができる選手が出てくるんじゃないかなと僕は感じています。ただ今の段階では通用する選手もいれば、まだまだ通用しない選手がいるのが現状ですね」

浜口HC「B1はbjリーグの上位チームが入っていますし、NBLも同じことがいえます。そういう意味ではレベルが高いんじゃないかなと思います。ただ現時点ではリーグが統一されて、よりレベルの高いリーグになったとは感じないですね。僕らにとっては高いレベルになったかなと思いますけれど、NBL勢にとって高いレベルのリーグになったかは、ちょっと分からないですね」

天日コーチ「そんなに劇的に変わっていることは、ないですよね。何年か前と何かが大きく変わったとか、選手が急激にうまくなったとかは感じていません。やっぱり、日本はすべてがこれからです」

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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