明大・柳裕也がドラ1候補に挙がる理由 完成度の高さと学生随一の人間力
良質なストレートで三振の山
ドラフト1位候補に挙がる明大・柳。10月13日現在、東京六大学通算21勝、301奪三振を記録している 【写真は共同】
ネット裏の観客席でこんなことを思いながら、ドラフト1位候補と評される柳裕也(明大)を見ていた。ストレートのスピード表示は最速でも140キロ前半なのに、三振の山を築いていく。7月の日米大学野球では8連続を含め12三振を奪って圧倒したこともあった。
テークバックで胸は空を向くほど大きく張って、より上から投げ下ろす。身長180センチからリリースされたストレートは打者の手元で伸びてお辞儀をしない。柳の持ち味はなんといってもこのストレートのボールの質だ。良質なタテ回転のスピンがかかっている。
「アップのキャッチボールの時から、斜めになっていないか回転軸を確認してます」
そして宝刀は110キロ前後の大きなカーブ。横に滑るスライダー系ではなくて、一度、浮き上がってからドロンと落ちるボールだ。「40、50センチ? もっと落ちているんじゃないですか」と言うのは捕手出身の明大・善波達也監督だ。先日、柳のボールを受けたという。本来、投手から放たれたストレートはバックスピンで、カーブは微妙に斜めの順回転が一般的だが、「あいつのストレートとカーブの回転は軸がぶれないので、見極めづらいと思います。サインを出して分かっていないと、あのカーブはキャッチできない」
投球イニング(263回3分の2)を上回る三振数(301奪三振)の秘密がここにある。
柳の投球フォーム
タイプは明大の先輩である広島・野村
ボールの質、制球力、コンビネーションなど、トータルで球界を代表する巨人・菅野智之のピッチングを手本とする。似たタイプとして善波監督は「明治の先輩、広島のノム(野村祐輔)でしょう」と評す。
「ストレート、変化球を操って、フィールディングもうまい。けん制、クイックは柳が上。総合的にはいい勝負でしょう」
明大では3年上に関谷亮太(千葉ロッテ)、2年上に山崎福也(オリックス)、一つ上に上原健太(北海道日本ハム)とプロ入りした投手が連なっていた。偉大な先輩たちを間近に見ることができて参考になり、ドラフトされる彼らをみて、「自分も」というモチベーションになったという。