箱根V&マラソン代表「両方狙う」 青学大・一色が描く、東京への青写真

加藤康博

次戦は福岡国際も選択肢に

学生最後のシーズンは、駅伝とマラソンの両立を目指す 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

――リオ五輪のマラソンには、どのような感想を持っていますか?

 優勝タイムは2時間8分台。日本人もコンディションが悪い中でそのタイムは目指せると思うので、「戦えないこともないのでは?」と思いました。途中の急激なペース変化にはなかなか対応できないので、理想は集団につくのではなく、ずっと自分のペースを押し通す展開だと思います。もちろんそれが簡単ではないと理解していますが、いろいろ考えて対策を立てていくが必要があるなと感じました。

――今年は学生最後の年になります。箱根駅伝、そしてマラソンとどのような目標を立てていますか?

 4年目で最後の年なので、箱根駅伝での総合優勝をまずは考えています。そして2区で前回出せなかった66分台を狙いたいですね。マラソンも当然、考えています。夏からジョグの走行距離を増やすなど準備は始めています。どちらかをおろそかにするのではなく、両方を狙い、それぞれに良い効果が出るのが理想です。

 マラソンはどのレースに出るかはまだ考えていません。ただ12月の福岡国際も選択肢のひとつとして考えています。12月にマラソンを走れて、1月の箱根もしっかり走れたらカッコいいじゃないですか(笑)? ただ12月の第1週は秋の出雲、全日本と2つの駅伝の疲労が出る時期でもあり、箱根に向けた練習が最もハードな時期です。そのタイミングでうまく走れるかという不安はあります。今年が最後のチャンスなので学生記録(2時間8分12秒)も狙いたいですし、選考会で日本人トップになって来年のロンドン世界選手権も出たいので、状況を見ながら判断するつもりです。

――卒業後はGMOアスリーツに進み、競技を続けることが発表されています。花田勝彦監督とはどんな話をしていますか?

 まずは2年で2時間8分くらいのレベルを目指そうという話をしています。そこからレベルを上げていき、日本記録(2時間6分16秒)を更新して、2020年を迎えたいです。

メダル獲得へ「距離を走る必要性を感じる」

マラソンの日本記録を更新してから東京を迎えたいという一色。卒業後はGMOアスリーツで競技を続ける 【スポーツナビ】

――現時点で自分の課題はどこにあるとお考えですか?

 心肺機能に関しては比較的高いのかなと思いますが、逆にマラソンや箱根の後半で足が動かなくなるので、脚筋力や走り方が自分の弱さだと認識しています。今、青山学院大では効率的なトレーニングをしているので、泥臭い練習というのはあまりないのですが、マラソンのために距離を走る必要性は感じています。これから先、練習での50キロ走、60キロ走というのは避けて通れないはずです。タイプ的にも自分は昔のマラソンランナーに近いと思うので、長い距離をしっかり走り込んでいきたいです。それでスピードが失われることはありません。マラソンを経験した後も、今年の前半はトラックでしっかり走れましたから。

――2020年東京五輪の目標をお聞かせください。

 まずは代表になれるだけの力をつけないといけません。そしてメダルを狙って本気で取り組んでいくつもりです。自分の良さは大きな試合でも外さないところ。どんな試合でもメンタル面や準備などを変えずに取り組んできたからこそ、その強さを手にできたと思います。

 もちろん4年に一度、しかも地元開催の五輪ですから、特別な大会としてプレッシャーを感じるとは思います。ただ今は世界中の人が注目する中、東京でマラソンが走れるというのは純粋に楽しそうだなとも思っています。練習から「苦しくても決して遅れないこと」の積み重ねが安定感につながるはずと信じてここまでやってきました。今後もそのスタンスで毎日の練習を大切にしながら、自分を高めていきたいですね。

プロフィール

一色 恭志(いっしき・ただし)
1994年6月5日生まれ。青山学院大4年。
高校時代から全国高校駅伝で活躍。青山学院大入学後も1年時から駅伝メンバーとして活躍し、箱根駅伝の連覇に貢献。また昨年行われたユニバーシアード光州大会ではハーフマラソン銀メダルを獲得している。

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著者プロフィール

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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