来季巻き返しへ鍵を握るのはオレだ! Bクラスチームの投打の若手を紹介

ベースボール・タイムズ

真価を見せ始めたドラフト1位勢

8月11日の日本ハム戦以降、5連勝と覚醒した西武の多和田 【写真は共同】

 一方のパ・リーグ。今季Bクラスの若手投手陣の中では、西武のドラフト1位ルーキー・多和田真三郎の覚醒ぶりが目を引く。右肩故障で出遅れ、5月のプロデビュー戦では1回4失点KOを食らったが、8月中旬からは破竹の5連勝。9月7日の東北楽天戦(コボスタ宮城)では9回6安打1失点で2度目の完投勝利を挙げるとともに、松坂大輔に並ぶ球団新人記録の1試合15奪三振を記録してみせた。今季ここまで7勝5敗、防御率4.38。来季はローテーションの柱としてフル回転したい。

 その西武では、ドラフト6位ルーキーの本田圭佑も9月にプロデビュー。岸孝之のFAでの去就が取り沙汰される中、来季は高橋光成、誠といった若手投手の成長が、来季のチーム浮沈のカギを握ることになる。

 楽天では右肘手術からのリハビリを克服した釜田佳直が、夏場に2軍降格の試練がありながらも、先発ローテの一員として今季19試合に先発して7勝(4敗、防御率3.89)を挙げた。また高卒2年目の安楽智大も計11試合に先発し、当初は安定感を欠く内容が続いたが、8月19日のオリックス戦(京セラドーム)で7回4安打無失点、9月18日の西武戦(西武プリンス)では8回7安打1失点と成長の跡を見せた。エースの則本昂大とともにこのホープ2投手が2ケタ勝利を挙げれば、来季の上位進出は見えてくるはずだ。

 オリックスでは2013年のドラフト1位右腕・吉田一将が今季は中継ぎで結果を残したが、14年のドラフト1位左腕・山崎福也が、昨季に続いて今季は3勝止まり。来季こそ飛躍を遂げなければならない。

新たな和製大砲の出現に期待

オリックスのドラフト1位ルーキー・吉田正尚、「3番・レフト」に定着しているが、来季はさらなる飛躍を目指す 【写真は共同】

 最後にパ・リーグの野手だが、ここにこそ最大のスター候補生がいる。オリックスのドラフト1位ルーキー・吉田正尚だ。開幕戦に「1番・DH」で先発出場し、いきなり2安打を放ったが、4月末に腰痛で離脱。それでも8月に1軍復帰して同18日の北海道日本ハム戦(札幌ドーム)でプロ1号弾を放つと、8月の16試合で打率3割8分2厘、4本塁打、10打点をマーク。9月に入って打率こそ落としたが、9月14日には8号&9号本塁打を放ち、「3番・レフト」の定位置をガッチリとつかみ取った。何といっても魅力はフルスイング。華のあるスラッガーとして来季の大爆発に期待が高まる。

 同じく期待の和製大砲と言えば、埼玉西武の山川穂高も注目だ。以前から大きな期待を背負い続けているが、今季は7月末からレギュラーに定着して、ここまで14本塁打を放っている。フルシーズン出場ができれば、その本数は必然的に増えるはず。ホームランアーティストとして、いよいよ大きく羽ばたく時がきたと言えるだろう。

 その他、西武のドラフト7位ルーキー・呉念庭はチームの長年の課題だった正遊撃手に収まりつつあり、オリックスの21歳、若月健矢は新世代の正捕手として歩み始めた。今季の新人王と呼び声高い茂木栄五郎(楽天)もまだ22歳で、来季以降のさらなる飛躍が期待できる。

 Bクラスのチームはすでに来季を見据えている。チームの低迷期は、若手選手にとってはチャンスの時であり、今季“神った”鈴木誠也(広島)のような若手が出現すれば、一気にチームは波に乗ることができる。巻き返しへのカギは、大きな可能性を秘めた若手たちが握っている。

※成績は9月25日終了時点

(文・三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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