シメオネの去就問題に揺れたアトレティコ 続投が決まり、再び安定感を取り戻す

シメオネが喝を入れ、安定感を取り戻す

序盤2試合はつまずいたものの、直近は安定感を取り戻している 【写真:ロイター/アフロ】

 今季アトレティコはホームでアラベス、アウェーでレガネスと2試合連続で引き分ける苦しいスタートを切った。一部メディアはこのつまずきをシメオネの退団騒動と関連付けている。

 この2試合の後、シメオネがプレシーズン中から低調なパフォーマンスを見せていたチームに対して声を荒げたという情報もある。これまで見せたことのなかった指揮官のリアクションに驚いた選手は1人や2人ではなかったという。

 だが結果的に、この衝突はポジティブな変化をもたらした。シメオネほど確固たる信念を持ち、選手たちの心に迫ることができる監督は世界中を探しても稀だからだ。以降、アトレティコは調子を上げ、再び安定感抜群の厄介なチームとなった。チームが変貌したのはエドゥアルド・ベリッソ率いる難敵セルタに4−0で完勝した一戦からだ。CLでは昨季も大いに苦しめられたPSVにアウェーで1−0と勝利。続いてリーグ戦の第4節ではスポルティング・ヒホンに5−0と大勝すると、21日(現地時間)にはカンプノウでバルセロナと1−1で引き分けた。

 今季のアトレティコはレアル・マドリーやバルセロナとタイトルを争うべく、大型補強を敢行して過去最高に豊富な戦力をそろえた。そしてシメオネもあと2シーズンの続投を決意したことで、ようやく飛躍し始めたようだ。

 目指すは近年わずかに手が届かずにいたCLの制覇だ。もちろん今やファンも自然なことととらえるようになった、全てのコンペティションにおいてタイトルを争いながらである。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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