“日本らしいバスケ”を追求した4年 ロンドンと同じ9位も「成長した」リオ

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クリアできなかった課題

成果は示せたものの、9位と目標に届かなかった日本。次回の東京へ向けて最年少・鳥海(写真)らのさらなる成長が期待される 【写真:伊藤真吾/アフロ】

 自分たちの戦いに確かな手応えをつかんだが、それでも順位は9位とロンドンから変わっていない。目標の6位以内に届かず、多くの課題が残ったのも事実だ。

 日本は良い戦いを見せる時間帯はあっても、40分間フルにはもたない。プレーの精度が落ちると、ミスが目立ち始めた。相手の高さを嫌って外から攻撃を仕掛けたが、シュートを落とす場面が増えた。フリースローの成功率も安定しなかった。

 3Pシュートの強化に力を入れたが、一朝一夕に打てるようになるものではない。選手たちは障がいで下半身が使えないため、距離の遠い3Pはなかなか届かないのだ。藤澤潔(ソーゴー)が少しずつシュートレンジを伸ばしていたが、リオまでには間に合わなかった。結局、リオの日本代表で3Pシュートを試合で使えるレベルにあるのはポイントゲッターの香西宏昭だけ。相手が香西のマークを増やすと、日本のアウトサイト攻撃は沈黙してしまった。

 リオでの日本代表は一定の成果を挙げたものの、世界を勝ち抜くためにはまだまだ精度と強度が足りなかった。

リオでの成果を東京へ

「僕らがいかに力を注いでも、4年間という限られた時間の中で成長することがいかに大変かが分かりました。(パラリンピックまでの)全力の4年間を何度も続けていくことが、そのスポーツの発展や強さにつながっていく。おこがましいことだなと思いました。簡単に結果が出ることではなくて、(結果が出るまで)待つということも重要です」

 及川HCはそう語り、次の4年間へ課題を残したことを悔やんだ。そしてこの成果を、東京へ向けた新体制でも引き継いでくれることを願っている。香西もまた、同じ考えを示した。

「僕たちがやってきたことはロンドンのときより数段レベルが高くなっていて、強くなっていると実感しています。日本が強くなるためには、今やっていることをやめるのではなくて、流れはこのままで精度をどんどん上げていくことが必要だと思います」

 及川HCは今大会の日本代表を「成長していくチーム」と評した。4年間で多くのことを積み重ね、パラリンピック期間中も成長を続けて最後に最高のプレーを見せてくれたからだ。及川HCがリオに向けて撒(ま)いた種はこれからも成長を続け、4年後の東京できっと花開くはずだ。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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