“日本らしいバスケ”を追求した4年 ロンドンと同じ9位も「成長した」リオ
成長した証しを見せたイラン戦
イランに勝利しロンドン大会と同じく9位で終えた車いすバスケ日本代表 【写真:伊藤真吾/アフロ】
予選リーグではスペインやオランダといったヨーロッパの強豪を相手に前半までは競り合うことができたが、後半に失速。体格やリーチで劣るため、スタミナが落ちたところで相手の攻撃を防ぎきれなくなった。過去最高の6位以内に入るため、予選リーグでは3勝以上を目標に掲げていたものの、1勝4敗のグループ5位で9−10位決定戦に回っていた。
迎えたイラン戦では、第1クオーターから藤本の得点などで21−14とリードを奪うと、その後も積極的に選手を入れ替えながら終始、主導権を握った。54%と安定した確率を残した2Pシュートで着実に得点を重ね、途中出場の17歳・鳥海連志(大崎高)もはつらつとしたプレーを見せて勝利に貢献。イランにはこの4年間で1勝4敗と負け越していたが、狙いとしてきた高いチームワークと連係の質にこだわったバスケでしっかりと勝ち切った。
試合後、及川晋平ヘッドコーチ(HC)は最後の試合で選手たちの成長した姿を見せたことを喜んだ。
「イランには30点差で負けたこともあるし、彼らの高さにどうしようもなく打ちひしがれたこともあった。そこから成長して、パラにつなげて完勝できたということは選手一人一人が、そしてチームがちゃんと成長した証しを見せてくれたのではないかと思います」
日本の良さを生かすための戦略・戦術を構築
及川HCがこの4年で磨きをかけてきた「高いチームワークと連係の質」の芽を感じられたリオ大会だった 【写真:伊藤真吾/アフロ】
ロンドンパラリンピックを知る藤本は、今大会の戦いに確かな手応えを感じている。
「僕たちの今の戦い方はオフェンス、ディフェンスともに日本人らしい。日本にしかできない世界基準のプレーだと思います。僕たちがリーチや背の高さに負けていく時代ではなく、チームワークで日本が接戦に持ち込む時代が来たなということは、皆さんに見てもらえたと思います」
磨きをかけてきた日本らしい戦い方は、イラン戦でも随所に発揮された。例えばオフェンスの場面。ボールを持った日本の選手に対し、相手選手がディフェンスしようとしたところでスクリーンをかける。ボールを持った選手はその隙にインサイドに空いたスペースへ入り込んでシュートを決める。「ピック&ロール」と呼ばれる基礎的なプレーだが、高さのない日本の選手たちにとっては非常に重要なプレーだ。こういったプレーがオフェンスでもディフェンスでもチーム全体が連動してできるようになったことは、及川監督と選手たちがこの4年間をかけて築き上げてきたからこそ可能になったプレーだ。