選手・クラブとリーグの距離感は遠い!? 本音で語らうJリーグ 中村憲剛編

木崎伸也
PR

提供:(公社)日本プロサッカーリーグ

中村「Jリーグ自体の努力がちょっと甘い」

選手からの率直な意見を聞いた村井チェアマン(右)は「その通りかもしれない」とコメント 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

中村 誤解を恐れずに言うと、Jリーグ自体の努力がちょっと甘いかなと。

村井 もっと取り組む余地はあるでしょう……と?

中村 フロンターレで取り組んできた人間としては、そう思います。Jリーグがあってクラブがある。選手たちはJリーグが何をしようとしているか、見ています。

村井 Jリーグは選手と一緒に取り組んでいない印象があるのかな。

中村 いや、もちろん取り組んでいるのですが、形式的なものに見え……ます。直接的に選手を抱えているわけではないので難しいのは分かるのですが、もっとJリーグがアイデアを出してくれれば……生意気ながらそう思っていました。

村井 なるほど、その通りかもしれない。今までJリーグとしては、ホームタウン活動はクラブがやるもので、リーグとしては情報を与えて参考にしてください、というスタンスだった。Jリーグが表に立って、ホームタウン活動を主導するというところまで行けていなかったかもしれない。

村井「5つの社会問題を考えJリーグを改善したい」

ファン・サポーターと近い距離を保ち、一緒に活動している中村だからこそ感じている部分があるようだ 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

中村 僕としては、もっとリーグと選手がスクラムを組んでやっていく感じがほしい。

村井 それはいい。実は自分もチェアマンとしてJリーグに何ができるかを考え、今計画していることがあります。日本における5つの社会課題にクローズアップして、Jリーグがその改善に取り組もうというものなんだ。5つの社会問題をあげると、「健康」、「教育」、「国際交流」、「産業振興」、「街づくり」。

 自分の足で歩いて健康的に暮らす健康寿命を、スポーツを通じて延ばせないか。いじめの問題や諦めない心を育むために、チームスポーツができることがある。試合観戦のついでに食事や温泉を楽しむというスポーツツーリズムを発展させ、それを地方の活性化につなげる。

 この5つの問題に対して、一般の方たちからアイデアを募ることができないかと考えている。Jリーグがプラットフォームになってアイデアを募り、53クラブと力を合わせて全国で取り組めないか。

中村 それは素晴らしいですね。世界的に人気があるスポーツだし、サッカーだからできることがあると思う。Jの53クラブがまとまったら、計り知れないパワーがあると思うんです。その先頭に村井さんが立ってほしい。

村井 熊本で地震があったとき、Jリーグが議論して1000万円の義援金を送ろうとなったとき、数日のうちにファン・サポーターの有志が1億円の寄付を集めた。選手だけではなく、ファン・サポーターが一緒にJリーグをつくっている。「僕らが支えているんだ」というオーナーシップを持った人たちが、全国にこれほどたくさんいるのは、すごいことだと。

中村 僕自身がファン・サポーターと一緒に活動して感じるのは、ファン・サポーターひとりひとりが何か行動するきっかけを欲しているということ。きっかけさえあれば、みんなが輪になって、すごいパワーを発揮する。これこそJリーグの財産ではないでしょうか。

<後編へ続く>

2/2ページ

著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載開始。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント